インフォメーション
INFORMATION
イベントレポート
2019.11.15
Bachトロンボーンを愛する6人が奏でる、最高の響き
〜Bachbone Japan〜
その名も“Bachbone Japan(バックボーン・ジャパン)”というアンサンブルのコンサートが、10月3日(木)、豊洲シビックセンターホールで行われました。
Bachbone、つまりBachのトロンボーンを使用している6名が集まって結成されたアンサンブルであり、メンバーは青木昂(読売日本交響楽団首席)、井口有里(東京都交響楽団)、池上亘(NHK交響楽団)、小田桐寛之(東京都交響楽団首席)、篠崎卓美(読売日本交響楽団)、福田えりみ(大阪フィルハーモニー交響楽団首席)。いずれも日本を代表するオーケストラで活躍するプレイヤーです。
最初の曲はアンドレ・アムレルの「カテドラル」。サクソフォンのミュール、フルートのモイーズ等と同様、トロンボーンにおいては格別な存在であるガブリエル・マッソンのトロンボーン四重奏団が初演した作品を、小田桐寛之氏が六重奏にアレンジ。“大聖堂”というタイトルにふさわしい重厚なサウンドを響かせました。
続いて、教会のオルガニストでもあり、敬虔なクリスチャンだったブルックナーがのこした「モテット」から3曲。
モテットとは主にラテン語の歌詞を持つ宗教的な小品のことで、それぞれの作品にシンフォニーの大家、ブルックナーの音楽のエキスを聞き取ることができます。
小田桐氏のアレンジによるトロンボーン六重奏の演奏で、ブルックナーの魅力を存分に味わうことができる貴重な機会となりました。
そして、池上氏のトムトムも登場した「スザート組曲」(編曲:小田桐寛之)。
もともとは舞曲集ですが、イギリスのフィリップ・ジョーンズ・アンサンブルのメンバーが金管アンサンブルに編曲したことで、以後ブラス・プレイヤーにとってレパートリーの定番となった曲です。前半の最後を彩り鮮やかに締めくくりました。
休憩をはさんだ後半は、趣を変えてトミー・ペダーソン曲集でスタート。
トミー・ペダーソンはアメリカを代表するジャズ・トロンボーン奏者のひとり。ウイットに富んだアンダーソンの世界が二重奏、三重奏、四重奏、五重奏、六重奏と編成を変えながら展開されていきます。
クラシックから一転、きらめくようなジャズ・トロンボーン・アンサンブルの魅力がつまった後半のプログラムは、ディキシーランド・ジャズの名曲「ティン・ルーフ・ブルース」(編曲:小田桐寛之)に引き継がれ、心地よいジャズ・コンボのサウンドを再現。さらに「ダニー・ボーイ」(編曲:小田桐寛之)へ。アイルランドの民謡で「ロンドンデリーの歌」として知られる旋律に歌詞を付け世界的に大ヒットした曲ですが、そのノスタルジックなメロディがあたたかく会場全体を包みこみました。
プログラムのラストは、デイヴィッド・ウーバーの「パントマイム」(編曲:小田桐寛之)。
通常のブラス・クインテットにユーフォニアムが加わる六重奏を、年齢も所属オケも異なる個性豊かなメンバーがトロンボーン6本でいきいきと紡いでいきます。
チラシやパンフレットに“Bachトロンボーンを愛する6人が奏でる、最高の響き”と記されたその言葉どおり、明るくのびやかな、そして力強いサウンドが来場者を魅了する一夜となりました。
一覧に戻る