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イベントレポート

開催期間:2014/08/18〜2014/08/23

2014.12.02
第31回管打楽器コンクール
サクソフォン部門入賞者に聞く

開催場所:東京都

 

2014年8月18日から23日まで開催された管打楽器コンクール・サクソフォン部門で入賞した5人のセルマー・プレイヤーに、そのユニークなプロフィール、サクソフォンに取り組む姿勢、愛器について、語っていただきました。

 


コンクールは自分を成長させてくれる場

 

第1位

中島 諒(東京藝大大学院修士1年)

サックスを始めたのは小学校吹奏楽部の音楽指導の先生の影響から

サクソフォーンを始めたのは9歳のとき。通っていた小学校に吹奏楽部があったのですが、すごく面白そうだなと思って入部しました。ただ当時は空手をやっていて、日本国内外の大会に出場して、一生懸命やっていたので、拳で戦いながら、奏でる指を守ることを、両立するのは大変でした。また、ピアノを弾くこともすごく好きで、ずっと続けています。
サックスを始めた時は、確かに、楽器の形も演奏する姿もカッコいい。もちろん、音もすごく魅力的。という感じでしたが、吹奏楽部で吹いているうちに、もっと勉強したいなと思いました。 指導の先生が、コンクールに出てみなさいと、言ってくださったのが、全ての始まりだったように思います。
そして、音楽の道に進みたいと心に決め、中学受験で、国立音大の附属中学校に入学、本格的にサックスの勉強を始めました。その後、附属高校を経て東京藝大に入学。今は大学院に在籍しています。

●平野先生から教わったこと

今年はコンクールイヤーで、たくさんのコンクールが開催されたこともあり、自分も、とにかくたくさん、国内外ほとんどのコンクールに出場しています。参加するたびにどんどん気持ちが高まるというか、自分が成長していることが実感できています。臨む姿勢、目標を持って練習するところに、コンクールの意義があるのではないでしょうか。
今回の管打楽器コンクールで賞をいただけたことについては、先生方、伴奏の羽石さん、家族や友人、仲間、いろいろな方に対しての感謝しかありません。16歳のときは1次まで、19歳のときは2次まで、22歳の今回が3回目のコンクールでした。
恩師の平野公崇先生が20年かけて得られたものを、3年間でみっちり教えてくださったことが大きかったのだと思います。最初の1年のレッスンは、ほんとうにびっくりしました。基本とラクールのエチュードから叩き直されましたから。今年に入ってからは、とにかく本番の経験値を積み、一歩一歩成長できたと思います。まったく響かない会場での審査で、自分の出した音がすべて正直にそのまま聴こえてしまうとても怖い状況でしたが、平野先生が毎日おっしゃっている 「音の粒をしっかり」をマスターしていましたので、落ち着いて演奏できました。基本の大切さを改めて痛感しました。
コンクールを通して、本当にたくさん学び、成長し、また反省もできました。コンクールは大きな学習の場であると再認識しています。

中2からずっとセルマーのシリーズVGPトーンを吹いています

いつかは、世界に羽ばたけたらいいなと思っています。演奏するのが大好きなので、自分の演奏を皆様が聴きたいなと思ってくれるようなサックス奏者になるのが、最大の目標です。幸せなことにまだ学生なので、たくさん勉強し、ときには失敗しながら、一つひとつの経験を大切に、精進していこうと肝に命じています。
楽器は、中学2年のときに買ってもらったセルマーのシリーズVGPトーンを今もずっと吹いています。音に芯がある、グッとくるサウンドがあるというのが、 魅力のひとつです。中学生の頃はそこまで考えてはいなかったのですが、長年使っているとどんどん味が出てくるというか、すごく気に入って使っています。マ ウスピースは10年使ったセルマーのS90-170から、去年の夏にバンドーレンのA28に替えました。リードはバンドーレンのV12の3 1/2です。

 


いつかは恩師に認められたくて

 

第2位

松下 洋(東京藝大大学院)

●とりあえず大学に行けと言われて

 

13歳のとき、テニス部に入ろうと思ったらその年だけ募集がなく、じゃあパソコンが好きだからパソコン部と思ったら雰囲気が暗い。それで吹奏楽部に入部して、アルトサックスを始めました。いろいろな楽器を試してはみたのですが、フルートもホルンもクラリネットも、どれも全然吹けない。トランペットはかろうじて音が出たかな。唯一サックスだけ、その日のうちに最高音から最低音まで半音階で全部出せたんです。それでサックスを選びました。

中3のときにその吹奏楽部を辞め、高校でまた1年間吹奏楽をやって辞め、で、洗足学園大学を受験したら落ちてしまい、次の年、AO入試で洗足に入りました。そもそも中3の途中で音大に行きたいなと思って、ピアノを習ったり、ソルフェージュを習ったり、部活を休む日数が増えて退部してしまったのですが、めちゃくちゃ後悔しています。顧問の先生には今も感謝しています。高校のときは突然吹奏楽部が強化部になり、吹奏楽コンクールも50人以上人数がいたのに35人のB編成で出たり、オーディションでメンバーを選んだり、僕から見たらめちゃくちゃなやり方になってしまって、けんかして辞めました。音大に進んだのも、とりあえず大学には行けと言われ、勉強もさほどしていなかったので、かろうじて吹けたサックスでなんとか洗足に入ったという、極めて消極的選択です。

 

●今年はロンデックス国際コンクールでも1位に入賞しました

 

洗足は学生数が非常に多く、音がめちゃくちゃきれいな人、指がすごく速く動く人、スラップ・タンギングが速い人など、40人いれば40の長所がある。何より池上先生がいらっしゃって、先生のよう吹きたいと思わせてくださる。そうしたことが、僕に、音楽が好きだということを思い出させてくれました。すでに一生分遊んだ気がするので、もう遊ぶ必要はないだろうと、サックスに打ち込み、4年生になる頃には、自分の中に音楽家になりたいという夢がしっかり定着して、今に至っています。

コンクールでは、毎回中島諒君と一緒なんです。僕も皆勤賞ですね(笑)。ロンデックス国際コンクールでは1位に入賞することができました。

音楽をやっていくうえでは、別にコンクールの賞を取っていようがいまいが関係ないことはよくわかってはいるんです。でも、1位ってかっこいいじゃないですか。それに、特に海外のコンクールでは、自分の物差しで測れないような人がいっぱいいて、必ず新しい発見があります。ただ、諒君はどんどんモチベーションがあがると言っていますが、僕の場合は精神がすり減っていくというか、自信もどんどんなくなっていくんです。だから、本当なら1年に1回くらいでいいかもしれない。

 

●今の楽器はセルマーのシリーズVゴールドプレート

 

恩師の池上政人先生にいつか認められたい。それが最終目標なのですが、これは多分達成できないと思います。まあ、サックスでやりたいことはいっぱいあるので、ひと通りやったら小説家を目指してみようかなと。そして、ゆくゆくは映画監督になって、サックスが出てくる映画を作ったり(笑)。

当面の目標としては、とりあえず今年で東京藝大の大学院を卒業して、博士課程に進みたいと思っています。そんなに簡単に入れるものじゃないと思いますが、40歳になるまで毎年恒例行事にするのもいいんじゃないかなと思います(笑)。いちばん近い目標はディナンのコンクールですね。(中島)諒君も(竹田)歌穂ちゃんも行くのですが、そこでベストを出せればいいなと思っています。

今の楽器はセルマーのシリーズVのゴールドプレートです。自分の奏法が柔軟ではないので、それを補うために、かなり改造してもらっています。マウスピースはバンドーレン、オプティマムのAL3。リガチャーはバンドーレンのマスターズ。でも、そろそろ次の新しいのを見つけて変えなきゃいけないなと思っているので、今開発中です。リードはバンドーレンV12の3 1/2です。

 


「日本に斎藤健太あり」と言われたい

 

第3位

斎藤 健太(洗足学園音大)

サックスは趣味にしようと思っていたのですが…

小学校1年生のときからピアノや習字など習い事はいろいろやっていましたが、本来僕は何の取り柄もないというか、パソコンに向かって黙々とネットゲームを しているような子どもでした。ブラスバンドでアルトホルンを吹いたこともあるのですが、朝練ばかりであまり進歩も見られず、活動の意義を見いだせなくなってサボりがちになったら、1ヵ月ほどで椅子がなくなっていました(笑)。
でも、たまたまパソコンでブログを見ていたら、中学校の部活動で何をやるかが話題になっていて、吹奏楽部に入ってアルトサックスをやると書き込んでいる子がちらほらいたんです。なんだか楽しそうで、僕も中学校で吹奏楽部に入部しました。
サックスを吹いてみたら、他の楽器よりちょっと面白かった。中1の秋を過ぎた頃、「たなばた(酒井格作曲)」が好きでひとりで吹いていたら、僕がソロをや らせてもらえることになって、そこからもうどっぷりはまりました。他のことはいつも中途半端で、まじめにやり切れたことがないのですが、サックスだけはずっと続けられる気がしました。音大にも興味を持ったのですが、2ちゃんねるなど、音大行っても食えないぞみたいなスレッドを読んで、やっぱり趣味は趣味として、まじめに会社に就職しようと思ったのが中3のときです。

初めて松下先輩の演奏を聴いて驚きました

駒澤大学高校に入って吹奏楽部に入部。先輩と一緒に、洗足学園大学で毎年やっているサクスケルツェットを聴きに行って、すごく感動してしまいました。ステージでこうやって演奏して、好きなことが仕事にできるって、とても幸せなことだよなと思って、それでまた、音大に行きたいなという熱がすごく高まったんです。東京藝大を受けようというところまでいったんですが、苦手なことをあまりやりたがらない悪いクセがなおり切っていなくて、藝大の入試は3次で落ちま した。
でも、浪人って一歩遅れを取るみたいなイメージがあって、だったら入れる学校で4年間思い切りやろうと。池上政人先生もいらっしゃるし、ずっと付いていけば絶対にいいところに連れていってくださるんじゃないかと思って、洗足学園大学に入学しました。実は高3のとき、洗足の昔の短大で合宿をやるからという話があって参加したのですが、練習室の隣の部屋からめっちゃ上手いサックスが聞こえてきて、のぞいてみたら、松下洋さんがいらっしゃった。洗足もすげえんだ と思った、そのときの印象も鮮烈でしたし…。洋さんはずっと尊敬する先輩です。

愛器はセルマーのシリーズUゴールドプレート

昔、ジュニアコンクールに初めて参加したとき、審査をプロの先生方にされるということ、まわりの人たちもめちゃくちゃ上手いということで、プレッシャーに押しつぶされたことがありました。すごく悔しくて、自分自身にプレッシャーがかかる本番をもっと踏み、メンタルを強くしなければといけないと思って、その 後もコンクールに参加しています。
 僕には、日本に斉藤健太というすげえサックス吹きがいるぞと、世界中に自分の名を知らしめたいという野望がありまして(笑)、恥ずかしいけれど、いつか、その野望を達成したいですね。
 楽器はセルマーのシリーズUのゴールドプレートを使っています。ずっと欲しいとは思っていましたが、高価な買い物なので親に頼めずにいたんです。でも、 大学1年生の終わり頃に先生にお借りして吹いたら、先生にもそのほうがいいと言われたので、思い切って相談したら買ってくれました。最初は僕、自分でローンを組むと言ったんですが、支払いができなくなったら困るだろうと言ってくれて。マウスピースは試行錯誤の結果、最初のセルマーのS90-170をずっと 使っています。リードはバンドーレンのトラディショナルの3 1/2を使っています。

 


まだまだこれからたくさんのことを学んでいきたい

 

第4位

住谷美帆(東京藝大)

●吹奏楽が大好きでした

 

最初はまったく音楽をやるつもりはなくて、中学校では運動部に入ろうと思っていたんですが、女子サッカー部がなくて、習っていたテニスも中学校には硬式がなかったのでやめました。ピアノはずっとやっていたので、音楽もいいかなと思い、吹奏楽部に入部しました。

吹奏楽部にすごくサックスの上手な先輩がいたので、いちばん最初にサックスを希望したら、サックスにしてもらえたので嬉しかったです。中学校3年間はずっと吹奏楽づけでした。

高校に入ってもちゃんと吹奏楽続けていたいなと思っていたので、吹奏楽がちゃんとできる高校を選んで進学しました。音楽科専攻と迷ったんですけど、吹奏楽づけはいいけれど音楽づけは嫌だった。音楽家にはなりたくないと思っていたんですね。で、吹奏楽だけがんばって、あとは勉強をやっていこうかなと、普通科に入りました。

高校1年生のときに吹奏楽の大会に出て、将来はソロでやっていく、音楽の道に進むのもいいなと思い始めました。それで、高校2年生のときに、東京藝大に入りたいなと思い、先生にも初めてついたんです。

今、東京藝大の1年生です

 

●自信につながったコンクールでの経験

 

コンクールも、当然吹奏楽コンクールには出たんですが、その他にもソロの大会、ジュニア管打、ジュニアサクソフォン、クラシック音楽コンクール、JBA(日本吹奏楽指導者協会)のソロコン等を受けました。

まだ先生についていない頃は、1回だけ出てみたいな、自分の実力を知りたいなと思って出たのですが、ついた先生に「いろいろな大会に出てみて、経験を踏むといいよ」と言われて、なるべくたくさん出ようと思い、実践してきました。

今回の管打は、正直言うと、まだ1年生でちょっとどうなんだろうと思ったんです。でも、結果として、難しい曲を触っていくうちに、それまでできなかった技術などがどんどん身についていくのが自分でもわかりましたし、コンクールに出ることによって本当に成長したなと思え、自分の自信にもつながったと思います。

 

●セルマーのシリーズVをずっと愛用していました

 

中学校のとき、サックス関係のCDで学校にあったのが、須川展也先生、トルヴェール・クヮルテットのCDだけで、それしか聴いたことがなかったんです。でも、私はそのCDに大きな刺激を受けました。

だから将来は、私も、いろいろな刺激を与えられるような存在になりたいなと思っています。まだ1年生だし、その目標に向かって、有意義な大学生活を送りたいなと思っています。

楽器はずっとセルマーのシリーズVを使っていました。

セルマーの魅力はまず音色。すごく好きでした。人によって違う音色が出るという感じを持たせてくれるセルマーが好きです。マウスピースは、昔はずっとセルマーのC☆を使っていたのですが、今はセルマーのS90-170。リードはバンドーレンのトラディショナルの3 1/2を使っています。

 


職人のような演奏家を目指したい

 

第5位

竹田歌穂(東京藝大大学院)

●姉と同じ東京藝大を目指して

 

中学生の吹奏楽部に入ったのがきっかけで、サックスを始めました。中学3年生までは普通に楽しく部活をやっていましたが、高校1年生になったとき、コンクールでたまたま良い賞が立て続けにとれたこともあり、両親から本格的に勉強することをすすめられました。父は高校の教員で吹奏楽部の顧問、母はピアノの先生という、いわゆる音楽一家の家庭に生まれ、将来は音楽の道に進むだろうと何となく思っていましたし、高校1年の秋から、原ひとみ先生のところに通い始めました。3年間、地元の鳥取から夜行列車で月2回、ずっと通ってレッスンを受けました。

実は姉が東京藝大のバイオリン科卒業で、私も、姉の後を追いかけて藝大を受験しました。でも実は、サックスがすごく好きというわけではなかった。どちらかというと、歌やミュージカルのほうが好きだったんです。親から「とりあえず国立大学に行ってくれ、もし藝大に入ったらサックスはやめてもいいよ」って言われていましたし。実際に入学してからも、1年生の間はフラフラしていましたね。

ところが、やっていくうちにだんだん楽しくなってきて、次第にサックス独特の世界にのめり込んでいきました。鳥取にいた頃はあまり良い演奏を聴く機会もなかったのですが、藝大に入って、先輩方や先生方の本当にすばらしい演奏を聴く機会が増え、あこがれるようになりました。今は、ミュージカルは夢だったなという感じで、サックスでやっていきたいなと思っています。

 

●着実に一歩前には進めました

 

コンクールの経験は、鳥取にいた頃も、藝大に入ってからもそう多いほどではありません。今年は、管打とディナンの2つですね。

今回の入賞者を見ればよくわかると思うのですが、やはりコンクールでも結果を出すのは、本当に個性にあふれていて、自分の演奏を聴いて!みたいな感じの演奏者だと思うんです。一人ひとりが自分の個性を堂々と発揮するであろうという中で、私は自分をどうアピールすればいいのか、それをずっと考えていました。いい演奏だねとか、綺麗な音だねとかということは言われたことがあるんですが、前に出るものがないということは自覚しています。もう少し個性、光るものが欲しいなということを、今回もほんとうにいろいろ考えました。

でも、こうして入選することができたということで、1歩は成長できたのかなと、嬉しさはあります。ただ、5位という結果は、他の入賞者にあるものが私には足りないということ。私の良さはこれなんだというものを、もっと追究する必要があるなということを強く感じました。

 

●中学の頃からセルマーのシリーズVを吹いています

 

今後は、もっと竹田歌穂の演奏というものをいろいろな人に認識してもらいたい。そのうえで、職人みたいな演奏家を目指したいんです。特にアンサンブルや、須川先生を筆頭に最近活動しているサックスバンド、それと大好きな吹奏楽などで活躍できればと思います。竹田さんがいたら何とかなる、そういう演奏家になりたい! 彼女を呼べばなんとかなるだろうと思ってもらえる、そんな頼りがいのある演奏家になりたいなと思います。

中学生の頃からセルマーのシリーズVのラッカーを使ってきました。ネックはセルマーのスターリングシルバー。マウスピースは、いろいろ替えてみたりはしたのですが、セルマーのS90-170。リードはバンドーレンのトラディショナルの3 1/2です。今のところ、私にとっては、これがベストなマッチングだと思って、すごく気にいっています。

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