インフォメーション
INFORMATION
イベントレポート
2011.07.04
ジェシカ・フィリップス クラリネットミニコンサート & バックン製品発表会
〜バックン・クラリネットの美しい音色を日本初公開〜
2011年6月13日(月)/渋谷・アクタス
クラリネットのバレル・ベルをはじめとする、高級アクセサリーブランドであるバックン。2005年のクラリネットフェスティバルにおいて一大センセーションを巻き起こし、プロ奏者にも多くの愛好家がいる。
そのバックン社のクラリネットが日本初披露となった。
イベント前半はバックン・クラリネットの詳細を発表。
ラインナップは大きく2種類。スタンダードモデルとなるBackun Clarinetsとレゾナンスキィ、MOBAモデルのバレル、ベルが付属するMOBA Clarinets。それぞれにB♭管、A管がラインナップされ、さらにキィのメッキがシルバーとゴールドが用意されている。
様々な特徴を兼ね備えたバックン・クラリネットであるが大きな特徴のひとつに、材質を従来のクラリネットの材質であるグラナディラのほかにココボロをラインナップしたことだ。
グラナディラよりも比重の軽いココボロ材を使用したクラリネットの音色は柔らかく、会場を包み込むような音色が特徴的。その魅力は後半に行なわれたミニコンサートで存分に発揮された。
ジェシカ・フィリップスはメトロポリタン歌劇場管弦楽団のクラリネット奏者。普段よりバックン社のアクセサリーを愛用しており、バックン社と共に様々なアクセサリーの開発などにも協力している。
ミニコンサートはサン=サーンスの「クラリネット・ソナタ」より始まる。バックンアクセサリー愛好家ならわかると思うが、バックンの持つ上質な薫りが、さ らにクラリネット自体もバックンメイドになったことにより、バックンの持つ魅力が凝縮されたかのような音色に、会場にいた聴衆は一瞬でジェシカの演奏に引 き込まれる。柔らかく、深い味わいを持ちながらも、満員の会場に響き渡るバックン・クラリネット。10年の歳月をかけて完成された楽器のポテンシャルは非 常に高い。
2曲目は東京都交響楽団首席クラリネット奏者の佐藤路世氏とのデュオ。曲目はメンデルスゾーンの「二本のクラリネットのための演奏会用小品第一番へ短 調」。ジェシカはバックン・クラリネットを使用し、佐藤氏はセルマークラリネット「サン・ルイ」にバックンのバレル・ベルを使用し、それぞれの魅力を対比 するかのような趣向を凝らした演奏。すべてがバックン社製の音色と、バレル・ベルで表現される音色は、それぞれ違う魅力を持ち、バックン社の持つ幅広い可 能性を聴衆に伝えていた。
また、会場には多くのプロ、音大生、バイヤーなどが訪れ、その関心の高さを示していたのだが、イベント後に開催された試奏会では、国内有名吹奏楽団奏者や一流のプロ奏者、愛好家などが列をなして試奏。
「レガートがかかりやすい」「反応がすばらしい」など、音色はもちろんなのだが、それぞれに新しいブランドのクラリネットを分析していたのが印象的だっ た。ある奏者は「このクラリネットを使用した演奏会を、もっと聴いてみたい」と感想を述べていた。バックン・クラリネットの音色が初めて日本に鳴り響いた 当夜は、クラリネット界において忘れられない夜となった。
