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イベントレポート

開催期間:2016/05/31〜2016/06/03

2016.06.15
名手マッシモ・ラ・ローサ氏とバック社マネージャー、フィル・ブラウン氏が来日
バック・トロンボーンの魅力を語り、名演を繰り広げた2016ジャパン・ツアー

開催場所:東京都、愛知県、大阪府

マッシモ・ラ・ローサ Bachトロンボーンを語る

 いま世界でもっとも注目を集めているトロンボーン奏者でクリーヴランド管弦楽団首席のマッシモ・ラ・ローサ氏が、バック社マーケティングマネージャーのフィル・ブラウン氏と来日し、まずは5月31日(火)、 渋谷・アクタスのノナカ アンナホールで、バック・トロンボーンについて語った。

 午後2時から始まったこの日のイベント。前半はブラウン氏が、スライド上映をまじえながら、バックの歴史や製法工程についてレクチャー。

 ブラウン氏は、製作現場の第一人者であると同時に、主にシカゴ地区でオーケストラや室内楽団と共演するかたわら、シカゴ青少年管弦楽団やさまざまなアンサンブルの管楽器トレーナーとして後進の指導にあたるなど、長年教育者としても活動してきた。

 シカゴ交響楽団首席トロンボーン奏者ジェイ・フリードマン氏の薫陶を受け、彼や彼の生徒が他に抜きん出ることができたのは、フリードマン氏同様バックという楽器に負うところが大きかったと断言する。バックに全幅の信頼を寄せるブラウン氏の話はたいへん興味深いものだった。

 小さなネジのひとつまで、パーツのすべてを自社製品でまかなっているということ。市場に出すトロンボーンのすべてを優れたプレイヤーでもある専任の社員が1本ずつテストしているのだということ。そして、たとえば “音の決め手”であるベルは職人が手作業で完成させるが、 その工程は465工程に及ぶこと。機械で行ったほうがいい作業は当然機械にまかせるが、“音”を考慮に入れると、職人の手の感覚こそがもっとも大事であると言う。「熟練の技術者が行う手作業こそバックのプライドだ」というブラウン氏の言葉が、バックが多くのプレイヤーを魅了する理由のひとつを率直に語っている。

渋谷・アクタスでのレクチャー(5月31日)

 

 後半はマッシモ・ラ・ローサ氏が加わり、バック・トロンボーンの機種による違いを説明。実際に演奏することで、それぞれの違いがより際立つ。

 バック待望の新コレクションであるアルティザンはラ・ローサ氏が開発に携わったモデルだが、最初にバックからアプローチを受けた際、なぜこれ以上いいものがいるのか理解できなかったという。実際の開発が開始されてからは、ものすごい数のやり取りを経て、現在のモデルが完成。 ラ・ローサ氏のすべての要望に対してエンジニアが真摯に対処してくれた結果、工場から出た楽器は完璧な状態で、月曜日に受け取ってその週末の金曜日にはソロを吹いたのだそうだ。

 12歳の頃、当時の師匠からバックの42を演奏するといいと言われ、楽器を買いに行ったというラ・ローサ氏。そのとき買った初めてのバックをアルティザン開発時に持参したところ、シリアルナンバーからそのトロンボーンを作った職人がわかり、しかも、その彼がまだ在職していて実際に会うことができた。

 「信じられないほど感動したし、バック以外のトロンボーンを吹くなんて考えられない。こうしてファミリーになって楽器を開発できた今、とても感激している」と話すラ・ローサ氏。こうしたエピソードが生まれるのも、長い伝統と歴史に支えられたバックだからだろうし、今後も多くの名器を生み出し、バック・ファンを獲得していくに違いない。

大阪、名古屋、東京の3大都市で、リサイタル&マスタークラスを展開

 前述のレクチャーのほか、ラ・ローサ氏は同じく5月31日に東京・アクタスにてマスタークラスを開催し、 続く6月1日には大阪・フェニックスホールにてリサイタルを開いた。名手として知られ、さまざまなオーケストラでの素晴らしい演奏を聞かせてくれているラ・ローサ氏だが、 そのソロをフルで聞かせるリサイタルは日本初ということで期待を集めたが、その秀逸なテクニックと、歌手にも劣らぬ歌心、そして自身が開発したバック「ラ・ローサ」モデルの音で聴衆を圧倒した。

 この日は、サイトウキネンオーケストラ等での共演を通して親交のある、またラ・ローサ氏が尊敬するトロンボーン奏者でもある呉信一氏がゲスト出演し、 同じくバック「ラ・ローサ」モデルを携えてビゼーの歌劇「真珠採り」から、などを聞かせ会場を沸かせた。

敬愛する呉信一氏と「ラ・ローサ」モデルでの共演も実現した

 また、名古屋の5Rホールではマスタークラスと、基礎的な練習方法についてのレクチャー、そして1時間のミニサイズながら充実した内容のリサイタルを聞かせた。

名古屋5Rホールでのマスタークラス(6月2日)

 東京は6月3日、白寿ホールにてリサイタルを開いたが、この日はロビーでの展示および休憩時間を使ってステージ上でのフィル・ブラウン氏の説明も行われるという立体的な構成で、詰めかけたトロンボーン・ファンを堪能させた。

白寿ホールでの東京公演(6月3日)

 また、当初は大阪公演のみでの共演予定だった呉氏が、東京でもサプライズの登場となり、思わぬプレゼントに客席が大いに盛り上がったことは言うまでもない。

 トロンボーンの魅力を余すところなく伝えてくれたマッシモ・ラ・ローサ氏は、近い将来また別の街で日本のファンと触れ合いたいと語っていた。

東京公演の休憩時にはステージ上でフィル・ブラウン氏による製品説明も行われた

ピアニスト林浩子氏との見事なアンサンブルは秀逸

各種バック・トロンボーンが展示されたロビーの特設ブース

 


マッシモ・ラ・ローサ トロンボーンリサイタル プログラム

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