テクニカルレポート

ノナカ・テクニカルサービスのリペアスタッフはお取引店で開催される管楽器リペアクリニックに出向き お客様の大事な楽器を診断の上、調整&簡単な出張修理をさせていただくこともあります。

2024年 記事一覧

  • Vol.123
  • Vol.122

テナーサクソフォンの再塗装を含むオーバーホール

通常のオーバーホールでは、全てのタンポ、コルク、フェルトを交換します。
今回はそれらに加えて管体とキー全ての再塗装も行いましたので、その様子をご紹介いたします!

長年のご使用により、全体的にラッカーの変色や剥がれ、錆などが出ていました。

まずはキーを分解していきます。

次に、キーのガタつきや位置を修正し、タンポやキーコルク・フェルトを取り除きます。

管体の針バネも取り外します。

その後、既存の塗装の剥離を行い、磨き作業に入ります。

再塗装の作業と言えば、既存の塗膜を剥離し、新たに塗装し直すだけかと思われるかもしれません。
しかし、それでは塗料の密着度合いや仕上がりが良くなりません。

そのため、下磨きをしっかり行ってから塗装をします。

金属の腐食具合によって磨き具合は変わりますが、重度の腐食部分は、磨きすぎると管体やキーの強度や響きに影響する場合があるため、状態を見ながら丁寧に下磨きをします。

今回は、管体の他、キーやパーツ45個を再塗装しました。

下磨きを丁寧にしてから塗装すると、このように美しい輝きが蘇ります!

塗装後は、管体に針バネ、キーにコルク・フェルトとタンポを取り付けて、きちんとトーンホールを塞がるよう調整し、全ての作業が完了です。

新品のように生まれ変わりました!

良い楽器は大事に取り扱うことで長く使用することが出来ます。
みなさまの音楽ライフの選択肢の一つになればと思い、ご紹介致しました!

更新日:2024年5月20日

フルートの取り扱い

令和6年が始まりました。
本年も皆様の音楽活動に貢献できるよう、頑張ってまいります。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

さて、春からそれぞれ新しい生活が始まると思います。
そこで今一度、フルートを取り扱う際の注意点を思い出してみましょう。

❑ 楽器を組み立てる時、分解する時は、なるべくキーが付いていないところを掴む

キーを握ると、曲がって動きが悪くなったりタンポに余計な力が加わり劣化の要因になったりします。

なにも無いところを握るようにしましょう。

❑ リッププレートは握らない

握りやすいので指をかけたり握ったりしたくなりますが、リッププレートが曲がったり外れてしまったりする可能性があります。

なにも無いところを握るようにしましょう。

❑ 接続部分は綺麗にしておく

手で触れることが多い箇所ですが、汚れが付着したままにしておくと、その汚れが硬くなり接続の際に入れにくくなります。
また、接続部分にキズが付いたり、一生懸命に組み立てようと握り過ぎてキーが曲がってしまう・・・なんてことにもなりかねません。
汚れを除去するには、普段使用している磨き用のクロスやティッシュペーパーで乾拭きすれば大丈夫です。

❑ キーオイルは自分で注さない

余分なオイルがキーの外側にまわりこんでしまい、調節部に使用されている革(シリコン)や紙が膨らんだり剥がれたりする原因になります。
また、ほこりや汚れが付着しやすくなり、動作不良の原因にもなります。
キーの動作に不具合があってキーオイルを注す必要がある場合は、ノナカ・ミュージックハウス、または お近くの楽器店様までご相談ください。

また、楽器を片付ける際、時間が無くて急いでしまわなければならない時もあると思いますが、そんな時でも2つだけやって欲しい事があります。

①管体の内側の水分を、掃除棒を使って拭き取る。

②リッププレートを綺麗にする。

特に②は「なぜ?」と思う人も多いかと思います。
理由は、リッププレートが汚れたままの頭部管をケースにしまうと、ケースの蓋側の出っ張っている部分に汚れが移り、その後いくらリッププレートを綺麗に磨いても、 ケースにしまうたびにリッププレートが汚れる・・・なんてことになってしまうからです。

些細な事ですが、綺麗に使い続けるために ほんの少し頑張ってみましょう!

弊社YouTubeチャンネルにも色々な楽器のお手入れ動画がありますので、是非参考にしてみてください。
 野中貿易チャンネルはこちら >>

更新日:2024年1月16日