サクソフォン奏者 坂口大介
大人の留学記

クローバー・サクソフォン・クヮルテット 
バリトンサクソフォン奏者
坂口大介のオランダ留学記【vol.10】
- SPECIAL FEATURE BY NONAKA BOEKI -

ヴァカンス!

August 5, 2021

夏真っ盛りですね!
さて、ヨーロッパでは、国によって違いはあるもののワクチンの接種が進んだ事もあり、 6月くらいから一気に国と国の移動の自由が解禁され始めました。
レッドゾーン、オレンジゾーンなどコロナの蔓延の度合いによってルールは度々変わりますが、基本的にはEU圏内では移動の時のカンティーン(自宅待機)の必要がほとんどなくなり、ワクチンを打っていればほぼ自由に。
打っていなくても直前に簡易検査を受ける事で、簡単に他のEUの国に移動できるようになっています。

これは一つにヨーロッパ人が大事にするヴァカンスの為だと思うのですが、ヴァカンスというのはそれほど彼らにとっては文化であり、かけがえのないものなのだなと実感します。

ということで試験も終わり、せっかくヨーロッパにいるという事で、いくつかの国をぶらぶらと旅行することにしました!
ヨーロッパのいい所は、本当に気軽に海外旅行ができる事。
イージージェットなどのLCC格安飛行機を使えば、一万円くらい、時間にしても1時間から2時間で国々を移動する事ができます。
僕が東京から実家に帰るより手軽なくらいです🙂
さらにFlixに代表される長距離バスに乗れば、5000円を切る金額で移動できます。(だいぶ時間はかかり、しょっちゅう遅れますが。)
ヨーロッパがEUで一つになって以来、国境は本当にないようなもので、移動に関していえば一つの大きな国のようなものですね。

easy jetでgo!

最初に僕が行ったのは、バーゼルです。
スイスの北部、フランス、ドイツと3つの国の国境沿いにある街です。
バーゼルはハーグと同じように古楽と現代音楽の分野で有名な音楽大学があり、また大学時代の先輩が古楽奏者として活躍しているのもあって訪ねてみたのでした。
スイスと言えばまず有名なのがその物価の高さ。大体何を買っても他のヨーロッパの国々の2倍から3倍!します。
例えば、マクドナルドに行っても2000円くらいします😯
そんな物価の高い街であるので、バーゼルに住んでいる多くの学生は、毎週末隣のドイツもしくはフランスの街まで出かけて食料を買いだめするそうです。

しかし、街は美しいです。
何となくオランダより街が落ち着いていて、品があるように見えるのは、お金持ちがたくさん住んでいると言うイメージのせい?笑🙃

バーゼルの夕暮れと夜

街自体はとってもコンパクトです。
ライン川があり、高台にカテドラル。そのすぐそばに小さな繁華街。
街じゅうの人が休みになるとそこに集まってくるような賑やかさです。

ライン川と街

繁華街、この日は小さなマーケットもやっていました

そして坂がある!
僕の住んでいるハーグ、、と言うよりオランダは本当に真っ平らで全く坂がありません。
それだけでなんだか新鮮に感じてしまいます。

カテドラル:大聖堂

バーゼルでは先輩の紹介で、そこで生活している二人の日本人の音楽家にも出会うことができました。

フルート阿部さん、パーカッション飯野くん、トラヴェルソ木下さん

出会ってからわかったのですが、阿部さんは芸大時代の後輩であり、飯野君は日本で仲良くしていた打楽器の友達の友達。
遠く離れている土地で同じように日本からやってきた音楽家がヨーロッパで音楽をやっていて、どこかで繋がっていて。
それは何だか嬉しい気持ちになりました。
4人で話していると、それぞれが、それぞれの縁で外国に住んで自分の人生を歩んでいるのがわかります。
異国の地でどんな風に音楽と関わり、どんな日々を過ごしてきたか、、そんな話は僕にとってはすごく面白かったです。
ヨーロッパのどこに行っても音楽をやっている日本人がいて、フェイスブックを使えばすぐにコンタクトできて、直接会うこともできてしまう。
すごい時代ですね。

大聖堂ではオルガンも聴けました、ヨーロッパの教会で聴くオルガンが好きです

ドイツのフライブルグ。
ここはバーゼルから北に30分ほど行った街です。
隣ではありますが、国境を越えただけで雰囲気はかなり変わります。
学生の多い賑やかな街で、さすがドイツ、ソーセージが美味しかったです。

この小さな路地は美しいヨーロッパの路地として有名らしい

フライブルグのカテドラル、ステンドグラスが素晴らしい

丘の上から見たフライブルグ

最後にニース!
フランスの南端、コートダジュールと呼ばれる地域の太陽と海の街です。

ビーチ 旧市街、どこかアラビックな雰囲気も感じます オレンジ、白、そして青

ニースは本当に綺麗な街でした。
全てのものが輝いていて、僕の中のヴァカンスというイメージにぴったり合うような。
フランス人はもとより、多くのヨーロッパ人が夏にここを訪れ、家族と一緒にゆっくりと日々を過ごす。
そして、また仕事や勉強に帰っていく。
そんなメリハリのある生活のリズムが、一つの文化になっているのだなと感じました。

また、ニースにあるシャガール美術館は、それはとても素敵でした。
実は僕はシャガールの大ファンで、ニースに訪れた目的の一つがここでした。
シャガールの色使いがこの街の空気と調和していました。

シャガール美術館、シャガール自身が設計した美術館です

美術館の中庭

飛行機の時間だけでいうと、アムステルダムからバーゼルまで1時間、バーゼルからニースは1時間半。ニースからアムステルダムは2時間。
現在では、ヨーロッパは思っていたよりも小さな世界になっていて、だけれどもそこには多様な文化がある。そんなことを実感しました。
そして、旅先で会う友達は嬉しい!

今回はそんな旅行記でした🐧 また!

来月9月10日に新宿、オペラシティー内近江楽堂にてコンサートを開催いたします!
帰国後、初めてのコンサートは僕の所属しているアンサンブルニュークラシカのコンサート。
古楽と現代音楽、両方のスペシャリストによる世にも新しいグループです。
今回はイギリスのルネサンス、バロック音楽、それにちなんだ現代作品などでプログラミング。
イギリスの音楽は日本と同じように島国であるからか、素朴でなぜか日本人にとっても懐かしい趣きがあります。
ぜひ聴きにいらしてください。

※会場、曲目等は変更になることがございますので、ご了承ください。