サクソフォン奏者 坂口大介
大人の留学記

クローバー・サクソフォン・クヮルテット 
バリトンサクソフォン奏者
坂口大介のオランダ留学記【vol.8】
- SPECIAL FEATURE BY NONAKA BOEKI -

最近の日常。音楽と言葉。

June 4, 2021

こんにちは、日本の皆さん。日本はそろそろ梅雨の時期ですね。
オランダには梅雨というのはなく、4月以降はだんだんと晴れる日が多くなり、ぼんやり暖かい日が続く感じです。
空気はいつも適度に乾いているので、ヨーロッパはこの時期とても過ごしやすいですね。
最近はレストランのテラス席での飲食が可能になり、デパートを含め街のお店も通常営業になりました。
人を入れてのコンサートはまだもう少しかかりそうですが、徐々に以前の生活が戻りつつあるのかなと感じます。

カフェ

◯オランダと自然

5月頭に新しい家に引っ越したのですが、そこはカナル(運河地帯)。
小さな運河が目の前にあり、街の中に住みながら自然を間近に感じることができます。
都市の中にある自然をうまく街にとけこませているのが、オランダの良いところだと思います。

家の窓から カナル、ほとんどの国土が海抜0メートルである為、
このような運河がどの街でも見られます

カナルには色々な生き物が住んでいます。
特に春は水鳥の産卵、子育ての時期で、いろいろな鳥の子育てを見る事ができます。
これはガチョウの親子、家の目の前の運河では二組のガチョウの親子がいつも一緒に子育てをしていました。
不用意に近づくと親鳥に怒られます(笑)。
ひな鳥は一日中草を食べているのであっという間に大きくなります!
そんな親子を見ていると、ほっこりしますね。

産まれて1週間位? 1ヶ月後 白鳥の親子 小さい水鳥、お母さんが口移しでご飯をあげています 犬。オランダではリードをつけずに散歩する人もたくさん。
道を歩く時はうんちに注意が必要です!

◯さて、今回はリハーサルについて!

オランダに来てから、レッスンやレコーディングの為にいろいろなリハーサルをやる機会がありました。
久しぶりに学生同士でやるリハーサルは日本で演奏家としてやっていた事と違う感覚もあり、それについて書いてみます😀

まず、オランダに来て思った事。前にも書いたのですが、とにかく喋った人が強い、、、🙃という事です。
ヨーロッパの学生は本当によくしゃべります。
おそらく何かを主張する事が偉い!という文化が根底にあるからで、これは日本とはどちらかと言うと逆の感覚だと思います。
「聞き上手」という言葉が示すように「人の話を聞ける」事が日本ではいい事とされますね。

若い学生とリードクインテットをやる事になったのですが、最初にぶつかったのがこの問題でした。
つまり、何かを言わないと自分を見てもらえない。聞いてもらえない。

ふと僕はここで、リハーサルって何の為にしているのか考えました。

僕が思うにリハーサルとは
①音楽、その楽曲の仕組みを理解する。
②縦、横(リズム、ハーモニー)を同期させる。
③アンサンブルにおける耳の使い方のバランスを探す。(どのパートを中心に聴くか etc..)
④一緒に演奏する中で新しいアイディアを発見し、本番の時により即興的な演奏ができるようにする。

①②はテクニカルな事なので、事前の準備で大部分が省略出来ます。
曲の理解、噛み合わせなんかは事前に勉強、アナライズをすれば大部分をイメージする事ができるし、縦、横というのは個人のレベルが上がれば時間を使う必要がなくなります。
またグループとして長くやっていれば無意識に揃うようになりますね。
つまり、どれだけリハーサル前に準備をできるかが重要で、日本で演奏活動をしていた時はこの事をいつも意識させられました。
すごーく極端な言い方をすると、日本ではこの能力によってその人の存在意義を決めてしまう、、、ような風潮さえあったかもしれません😵

ところが、こちらでいろいろな国の学生と一緒にリハーサルをやっていてすごく感じたのは、そんな事より(笑)、リハーサルより前に自分の音を聴いてもらう状況を作る事。
つまり、まずは喋って自分を見てもらう状況を作る事がとても大事だという事です。

サッカーの城選手(元サッカー日本代表)が言っていたのですが、彼が最初にスペインに行った時、練習でも試合でも全然パスが来なかったそうです。
それでとても悲しい気持ちになったんだそうですが😥、ある時、城選手が片言のスペイン語を使った事で空気が一気に変わって、それから徐々にパスも来るようになり、試合でも一体感を感じられるようになったそうです。

ヨーロッパに来て感じる事は、ヨーロッパ人はしゃべる事で初めてお互いを理解するという事。
これは逆に言うと日本人には空気を感じるという能力が最初から備わっていて、それゆえに話すのが苦手な傾向があると言えます。
そしてヨーロッパ人は空気を読めない人達なのです!(極論)
何しろ、全員が違う国から来ていて、それぞれみんな違うバックグラウンドを持っています。十人十色なのが当たり前。

そんな中で音楽をやる上で大事なことは、いい雰囲気作りだったりします。
思うにオーケストラだって指揮者がそれをやっています。音楽をスムーズにやる為の雰囲気づくり。

特にラテン系の学生と一緒に演奏していると感じますが、彼らは感覚で音楽をやる部分が多く、初見やリズム、噛み合わせとかほんと苦手なんだけど、音楽が身体に入ると急に上手になったりします。
細かい事をあまり気にしないで、音楽を楽しむ。ここにエネルギーを使う事。
これは実はとても大事な事で、ヨーロッパに来て学生としてアンサンブルをやることで強く感じたことでした。
リハーサルは本番でそれぞれが自由に吹いて、且つそれが一つの音楽になりうる為の土台作りだと思うのですが、そこでは技術的なことも大事だし、同じように精神的なことも大事で、何事もバランスだと思います(笑)

良くも悪くも日本人というのは、どれだけ人に迷惑をかけないかを最初に考える傾向があるかもしれません。
まず間違えない。リズムがブレない。「してはいけない」から考える文化。
僕自身、練習の時、まずはそこからアプローチしている気がします。
私見ですが、日本の吹奏楽文化がこれに一役買っているのかもなと、、、
あれだけ若い時に、あれだけ精密なアンサンブルができるというのは他の国だったら考えられません。
日本人の精神性がなせる技ですが、全体の雰囲気としてそれが行き過ぎる事もあるのかな~と思うのでした。(これはコロナに対する向き合い方にも通じるかも、)

外国で音楽をやっていて思った事。

音楽には言葉はいらない。
けど、音楽をやる雰囲気作りには言葉はけっこう大事!
音は人という事ですね!

最後に僕の組んでいるリードクインテットの動画を貼り付けます!
スペイン人2人、ベルギー人、オランダ人、僕。
楽しい。けど、みんなすごく適当だから、ちょくちょくイライラしてます(苦笑)

今回の最後に。。。お知らせ♪

◯オンラインレッスンの募集
オランダからオンラインレッスンの募集!
時差の関係で夕方17時以降限定!スカイプなどで一緒に音楽しましょう😃

詳細は
sakaguchi0711@gmail.com
までお問い合わせください!
4,000円/60分
3,000円/40分

いつも最後までお読み頂きありがとうございます。
また来月!