サクソフォン奏者 坂口大介
大人の留学記

クローバー・サクソフォン・クヮルテット 
バリトンサクソフォン奏者
坂口大介のオランダ留学記【vol.6】
- SPECIAL FEATURE BY NONAKA BOEKI -

留学とお金について

April 9, 2021

日本ではもう花見の時ですね🌸
オランダでも長い冬が終わり、春を感じるようになりました。
日本のように桜をどこかしこで観られるわけではないですが、街の中の花壇にはきれいな花が咲いています。
そして、冬とは違い天気も良い日が多くなり、景色がどんどん色づいています。
外国に住んで嬉しいことの一つが花粉症に全く悩まされてない事。
僕は重度の花粉症で、日本にいる間は毎日薬を飲まないと厳しく...それでも鼻水、頭痛、大変なストレスを抱えながら1ヶ月以上生活するわけです😢。
しかし、オランダでは完全に無症状、全く普段通りに暮らせています。この快適さだけでも海外で暮らしたいと思うほど魅力的です。

さて、コロナ。
ヨーロッパ全域に渡って、まだまだコロナによるロックダウンは大なり小なり続いていますが、オランダでは

・スーパー以外のお店は予約でのみ来店可能、飲食店はテイクアウトのみ可能
・夜間外出禁止
・学校は空いているがレッスン以外は大体オンライン、室内楽は可能

といった感じです。
3月になり多少の緩和があり、美容院などに予約すれば行けるようになりました。
久しぶり(11月以来?)に髪を切ることができて、気分スッキリ!
美容師のお兄さんと話していたら実はコンセルヴァトワールの卒業生だそうで、このコロナの影響で今は美容師として働いているそうです。
美容師の一家で昔、それを手伝っていたおかげで今美容師の仕事もできるのだそうで、芸は身を助けるとはこのことですね。
ヨーロッパでフリーのミュージシャンは今、本当に活動する場所がなく、みんな苦労しているそうです。
しかし、夏からは海外での新しいプロジェクトが決まっているそうで、明るい兆しもあるとのことでした。

美容師のお兄さんと ハーグ新教会、晴れていると町は素敵です

今月のトピックは「お金」💴!
僕の留学でかかっているお金、海外生活でどのくらい生活費がかかるのか、学費は?
その他いろんなお金について、赤裸々に書いてみようかと思います。

○渡欧前にかかった費用

【学費】
最初にオランダに来る前にかかった費用。
一番大きいのが学費ですね。これはどの学校に行くか、そしてどの国に留学するかで大きく違ってくると思います。
高くて有名なのは、イギリス。次いでアメリカ。日本の私立音大以上にかかるのではないでしょうか?
比較的良心的なのが、フランス、ドイツ、そしてオランダもそうだと思います。
これは学校が公立か私立か、そして国がどのくらい教育に予算をかけているかに大きく関わっていて、僕の通うコンセルヴァトワールは王立ということでそこまで高い学費ではありません。
ハーグ王立音楽院の一年間の学費は5,200€=約63万円。
大体、日本の国公立の大学と同じくらいの金額ですね。
入学金、施設費などは一切なく、多少手続きの事務処理費用などがかかることはあるものの、これ以外に大きなお金はかかっていきません。

【引っ越し代】
オランダに留学するにあたり、もともと住んでいた家を引き払う必要があり、荷物を実家に送り出す引っ越し費用がかかりました。
これが大体4万円くらいだったかなと。その後、オランダにも少し荷物を送ったのですが国際郵便になる為、けっこうな金額になります。
今回はコロナの時期で郵便も不安定だったのでEMSという早くて確実な方法を使いました。
大きいダンボール20kgで確か25,000円くらい。
大きいスーツケースを持っていなかったのでそれが2万円。
荷物はこのスーツケースひとつ分と楽器、そして事前に送ったダンボール1箱分でした。

【その他】
免許を国際免許にしてもらったので5千円。
これは現地に入ってからになりますが、ビザなどの登録のための諸費用が諸々で1万円くらいかかったでしょうか?
オランダで暮らすために最初は日本とオランダの両方で大使館や役所に行ったり、連絡を取ったりしないといけないのでこれがけっこう大変です。
海外でのこういった作業は慣れていないため緊張感があり、無事、手続きが全部終わった時にはだいぶ安心しました☺️

○オランダ到着後

【家賃】
まず海外で生活するためには家を探さなければいけません。
移民社会であるオランダ、都市部では特に人口の増加傾向にあり、またヨーロッパの街らしく街の景観を保つために新しくマンションを建てるのは困難。
そういうわけで大都市では常に住居不足の状態にあります。
そんな事情もあり、独身であれば一つの家を何人かでシェアする人も多いです。

オランダの一般的住居。
都市部では一つの大きな建物の中に複数世帯分の住居が入っていることが多く、日本でいう3LDKの部屋を詰め込んだような感じです

特に学生においてはお金もないのでルームシェアが一般的。
相場としては 個室+キッチン、トイレ、シャワー共有で400€~700€(約5万円~9万円)。
ハーグではこの位の相場ですが、アムステルダムだとこの1.5倍くらい家賃相場が高くなります。
ちなみに僕が借りている部屋は400€+光熱費、インターネット80€。
すでに一回引っ越していて現在2件目の家になります(その理由はまた次回以降に、、)。
日本では敷金、礼金等初期費用がかなりかかりますが、そういうものはヨーロッパではありません。
引っ越し、移動はしやすいですね。(デポジットを最初に払うが返ってくる。)
家探しはネット上の不動産のページもしくは、フェイスブック上にある留学生ための家探し情報共有グループを使うというのが一般的です。
音楽院の学生専用の家探しグループもあり、多くの学生がこれを使って家を借りています。

koncon housing
1200人のメンバーがいるようです

【生活費】
到着後、洗剤、掃除用具など生活必需品などを揃えると2~3万円でしょうか?
現在、ヨーロッパ、ユーロの価値は日本円よりもだいぶ高いので、全てのものが1.5倍すると考えると丁度いい感じです。(現在 1€=130円、ヨーロッパはここ10年くらいインフレが進んでいます)
洋服はプライムマークという日本のユニクロのような、とっても安い店で買いました。
H&M, ZARA, 日本のユニクロも最近開店しています。
衣服類は比較的お買い得な気がします。
日本から持ってきたものに足りない物を買って2万円くらい。
そして、オランダでの必需品、自転車。
これはFB上のマーケットプレイスという売買サイトで買いました。
とにかくオランダでは中古市場が盛んで、車から鉛筆までなんでも個人売買でやりとりされます。
怪しいおじさんの家に行って直接購入、60€(7,500円くらい)。

マイ自転車。
買った時からボロボロですが、多少よごれていないとここではすぐに盗まれます。

【食費】
ロックダウンの現在はほぼ自炊生活なので、食費は節約できていると思います。
そもそも、オランダでは外食は高い、そしてなかなか美味しい店がないので必然的に自炊生活になると思います。
ちなみにレストランが空いていたとして、夜ご飯を普通に食べようとすると20~30€。
日本のような1,000円で美味しく定食が食べられるというお店はまずありません。
ラーメンが12€くらい(まあまあ美味しいが日本の方がやっぱり美味しい)、マクドナルドでセットを頼むと8€~(1,000円以上)。 一番コストパフォーマンスが良いのがトルコ系の料理。
日本でもあるケバブのお店がたくさんあり、安くて美味しい。頻繁に食べています。

kapsalonというトルコ料理。 一番下にポテトもしくはご飯、その上に鳥の炙り焼き、野菜、スパイシーソースが乗った料理です。
3.5€、安くて美味しい!

自炊での食費は月に120€くらいでしょうか。
ランチは学校の食堂でパンを買ったりして毎回5€くらい。
スーパーで野菜は安く買えて、ビールも安いです。お肉は牛肉と豚肉が同じくらいの値段です。
フランスパン一つ、1€。
逆に海産物は大体高く、スーパーでは種類もあまり多くありません。(ちゃんとした魚屋さんに行くと色々売っています。)
お米はこちらを、1kg=1.7€。日本の米に似ていてけっこう美味しいです。

お米、どこ産かはわかりません 野菜、1€くらいでなんでも買えます。パプリカ大きい! お肉、豚肉セールで500g/2.3€。
肉は薄切りが売っていないのが不便です。

他にかかるのが交通費で月に100€。
トラムというチンチン電車の交通費やレッスンで毎回ロッテルダムに行くのでその費用です。
あとは保険。
これは留学生向けのインターナショナルな物に加入していて、月60€。
こちらで仕事をするためにはオランダの国民保険みたいなものに入る必要があるらしいのですが、それには入っていません。
また、保険も今の所使う機会はありませんでした。

また、勉強代として、楽譜代、サブスクリプションとして英語のアプリ代、Netflix、apple music、Adobeなどのソフトが全部使えるものをアカデミック価格で登録しています。

NL(オランダの国鉄)と路面電車トラム

ざっとこのような感じでしょうか??
ロックダウンという状況でコンサートもやっていなく、旅行もなかなかできませんので、こう見るとだいぶ節約生活している気がします🙃
特殊な環境での事ですが、海外生活の何か参考になれば幸いです!

P.S
最近、室内楽のチームを組みました。
サックス、オーボエ、クラリネット、バスクラ、ファゴットによるリードクインテットです。
合わせをするのですが、討論好きでとにかく話が長い。
とりあえず音を出して、聴きながら音楽を作ればいいのにと思いつつ、これがヨーロッパのスタイルなのかなーと黙っていたのですが、実は前やっていたグループではそんなに喋ることができなく、その分今、沢山喋れて嬉しいとのこと。

そういうわけで英語力がグループ内での音楽の影響力に直結しているので、今英語に対するモチベーションが上がっています。