リットーミュージック発行「軽音マガジン 2018 Vol.4」 掲載

ドラム・セットが変わると音楽はこんなに変わる!

ドラムって、どれも「ツツタツ・ツツタツ」と同じように鳴るものだと思っていませんか?
でも実は材質、口径、パーツ、塗装による違いがあって、さらにブランドによる個性があり、同じように叩いても「ドドガド・ドドガド」と鳴ったり、「チチパチ・チチパチ」と鳴ったりします! ホントです!! 
ということで、今回は音の違いを確かめるため、世界的に有名なLudwig(ラディック)のドラム・セットを2台用意し、講師にドラマーの春日利之さんをお招きして、神奈川県立横浜清陵高等学校にお邪魔しました!

ドラム・セットが変わると音楽はこんなに変わる!
講師

春日利之さん

米国イリノイ州シカゴ出身。幼い頃からソウル、R&B、ラテン、ジャズ、ヒップホップを聞き育つ。8歳でサンフランシスコ のドラム&ビューグルコー( マーチングバンド)でビューグルを始めるが1年後にドラムに転向。 その後日本に移り、学生時代にはオーケストラ、ミュージカル、バンド活動を経て18 歳でアメリカへ戻り本格的に音楽を学ぶ。 拠点を東京に移し近藤真彦、ハルナ、福場庸介、ハナウタイム、田中昌之、イズミカワソラ、Speaker Sgt.、真琴つばさ、藤木直人、 Olivia Ong、Childhood、山崎育三郎、魔都夜曲、Thriller Live Japan、etc.などさまざまなアーティストのサポート・ライブ/レコーディング、舞台に参加。 また2011年よりDrum Gymの講師として参加。レッスン、セミナー、ワークショップ通して後進の指導にも積極的に行う傍ら、教育システムの研究など多方面にも活動の場を広げている。 2016年、diddle labを立ち上げ代表・講師を務める。

春日利之さん
セミナーに参加してくれた皆さん
神奈川県立横浜清陵高等学校 軽音楽部

●Ludwigとは?

Ludwig(ラディック)は、1909 年の設立以来、世界中の打楽器奏者から100 年以上も愛され続けている超一流のブランドです。 プロのドラマーでラディックを叩いたことがない人はいませんし、ドラマーの皆さんが日頃何気なく使っているフット・ペダルを初めて実用的なものにしたのもラディックです。 ロックの歴史を作ってきた名プレイヤーたちが使用した「ラディックの音」を知っておくことは、ドラマーにとってはもちろん、他のパートの人にとっても有益なことだといえるでしょう。

[使用ドラム・セット その1]

EVOLUTION MAPLE Series

エボリューション・メイプルシリーズ

価格:205,000 円(税抜き)

100%北米産メイプルシェルに45度のベアリング・エッジ、ラッカー塗装を施した、明るくハッキリとしたサウンドが持ち味のモデル。 その実力は完全に「プロレベル」! 扱いやすい20 インチ・バスドラムの5点セットはどんなジャンルに使用しても楽曲に明瞭なアタックを加え、華やかに盛り上げてくれます!

[写真のセット構成/品番:LCEM520XTB]
■バスドラム:16インチ×20インチ
■フロアタム:14インチ×14インチ
■タム:8インチ×10インチ
■タム:9インチ×12インチ
■スネアドラム:5インチ×14インチ
■ダブルタムホルダー付き
※シンバルおよびスタンド類は含まれません

Ludwig エボリューション・メイプルシリーズ

[使用ドラム・セット その2]

KEYSTONE X USA Series

キーストーン エックス シリーズ

価格:285,000 円(税抜き)

3層(3ply)のメイプルのコアを、 両側からレッドオーク材で挟み込んだ5層(5ply)シェルが特徴。 外側と内側それぞれ45度のエッジデザインでクリアなアタック感が魅力です。 エボリューション・メイプルとは材質やバスドラムの口径が異なる点に注目! こちらもオール・ジャンルに対応し、どんな楽曲もリッチで深みのあるサウンドでしっかりと支えます!

[写真のセット構成/品番:L76433AX]
■バスドラム:16インチ×24インチ
■フロアタム:16インチ×16インチ
■タム:9インチ×13インチ
※スネアドラム、シンバルおよびスタンドなどのハードウェア類は含まれません
※セミナーでは、16 インチ×22 インチのバスドラム、16 インチ × 16 インチのフロアタム、 8インチ×12インチと7インチ×10 インチのタム、CLASSIC MAPLE 5 インチ×14 インチのスネア(LS401)を使用しました。

Ludwig キーストーン エックス シリーズ

実際に2台の音の違いをチェック!皆さんの好みの音は、はたしてどちらか!?

ドラムも「材」によって音が変わる!

 この日、セミナーに参加してくれたのは軽音楽部の1~2年生12名。 そのうちドラマーは4名です。ということは、他のパートの人数が多い──とみるや、講師の春日先生は「ギターやベースでも、 メイプル指板とローズ指板では音が変わるでしょう? ボーカルでも体が大きな人と小柄な人では、声も違うよね?ドラムも同じなんです」と説明。 なるほど、わかりやすーい!
「だから、ドラムも“ただそこにあるドラムを叩くだけ”だと、“曲に合わない”ということが起こります。 ドラムが何で出来ているか、どういうチューニングにすればいいかを理解すると、曲をしっかり支えることができるんです」
そう言って、春日先生はまずメイプル材で作られたドラム・セット「EVOLUTION MAPLE」を、次にメイプルをコア材にしてオークで挟み込んだ 「KEYSTONE X」のセットを叩きました。おおっ、音が違う!
「メイプル材のEVOLUTION MAPLEは一つ一つの音にしっかりとフォーカスした感じ、 オークを使ったKEYSTONE Xは音圧があって、ローも出ているのがわかるかな?」
部員の皆さんは、何となく音の違いは感じているようですが、まだ少し緊張もあってなかなか言葉にできない様子。 それを察した春日先生は、2年生のドラマー、大泉勇人さんを指名!実際に叩いてもらうことにしました。


「弱く→ 強く」一打ごとに魂を込めて叩く!

 大泉さんはまずEVOLUTION MAPLEで、続いてKEYSTONEXで、見事な演奏を披露!それを聴いていた春日先生は 「違いはわかったかな? もっと違いをわかりやすくするには、音に強弱をつけて、弱いところからだんだん強くしていくといいですよ。一打に魂を込めて叩いてみてください」とアドバイス。 それを受けた大泉さんの気持ちの込もったサウンドが響きました。
その後も残りの3名のドラマーが次々に両ドラム・セットに挑戦!
気になる皆さんの感想は下にまとめてありますので、参考にしてみてください。


当日参加してくれた、唯一の2年生男子ドラマー、大泉さん。セミナー中は真っ先に演奏を聞かせてくれました。


「EVOLUTION MAPLEは“ 目に見えるんじゃないか”というくらい、はっきりした音、KEYSTONEXは音に深みがあって、僕としてはこちらの方が好みです」


外山さんは、勢いがあるドラム・プレイを披露してくれました。春日先生も「おおっ! 迷いがなくてかっこいいね!」と絶賛です。


「どちらのドラムの音も良かったのですが、KEYSTONE Xは低音が出てよかったです。私は、特にフロアの感じはKEYSTONE X が好きです」


お父さんがドラマーという石田さん。1年生ながら2台のドラムの特性を即座に感じ取って表現してくれました。


「EVOLUTION MAPLEは鋭い音が跳ね返ってくる感じがよかったですし、KEYSTONE Xは重心が低くて、音が“モアッ”と出てくる感じが心地よかったです」


ドラムを始めてセミナーの時点で2ヶ月という益子さん。今回のセミナーで、しっかりとラディックの音を認識してくれたようです。


「あまりドラムの経験がない僕が叩いても2台のドラムの音ははっきりと違いました。それと、学校のドラムともずいぶん音が違うんだなと思いました」


立ち位置によって音は変わる?

「バンドの中では、いろいろな音が聴こえていると思います。 ドラムは倍音がすごく出る楽器なので、倍音を出す/あえて出さないという叩き方によって周りの人には聴こえ方が全然違ってくるし、 単純に他のプレイヤーが立っている位置によっても聴こえ方が違ってきます。 それを皆さんに、ぜひ体験してもらいたいと思います」
春日先生の呼びかけで、部員は全員起立! 先生が一定のビートを叩き、それに合わせて全員がドラムの周りをぐるぐると歩き回りながら、音の聴こえ方を確認しました。 すると、「音を聴きとりやすいのはドラムの後ろ」「実際に演奏するとしたら弾きやすいのは正面」など、いろいろな感想が部員の皆さんから聞かれました。
「ベースの人は、ドラムのハイハット側に立つのが好きな人もいれば、反対側が好きな人もいます。ドラムの何を聴きたいかによって立ち位置を変えているんですね。 ベーシストに限らず、キーボードでもほんの少し座る位置を変えるだけで音の聴こえ方が変わりますから、ぜひ試してみてください」


憧れのマイ・スネア購入のヒント!

 セットの音の違いがわかった後は、スネアの音の違いをチェックしました。 今回使用したのはメイプル&ポプラ・シェルのLLS354、スティール・シェルのLM400、アルミ合金・シェルのLM404K、スティール・シェルのLW5514SLの4種です。 材質のみならず、ボルトの数やラグ(リムとヘッドを固定する金具)の違いも音に関係しているとわかり、参加者一同驚いていたようです。 「倍音を抑えたいときは、紙を1枚敷いて叩くだけでもずいぶん音が変わるので、そういったこともぜひ試してみてほしいですね」と春日先生。

 このようにドラム・セットやスネアによって音が違う一方で、春日先生によれば、実はラディック全体に共通する特徴もあるとのこと。 「ラディックは音が前にしっかりと出て、自分の周りでも心地よく鳴る特性があるようです。 自分の周りだけで気持ちよく鳴るだけでは、他のバンド・メンバーやお客さんにベストな音を提供できません。そういう意味でラディックのドラムはバンドで使うための最適な特 性を持っていると思います」

 これは、ぜひ読者の皆さんにも経験していただきたいと思います。春日先生も「良い音で練習することは、とても大事です」と繰り返し強調されていました。
その後セミナーでは、アクセント移動などの基礎練習の仕方、人の演奏を見ることの大切さなどについても解説が行われました。


 こうして2時間にわたるセミナーが終了。
最後に、部長の田中芙佳さん(2年/キーボード)にセミナーの感想を伺いました。
「ドラムも材質や叩き方で音が全然違うことや、立っている場所によって聴こえ方が違うんだということがよくわかりました。 自分が演奏する時にも、聴きとりやすい立ち位置に注意したいと思います」

音楽は楽しく演奏することが大切です。例えば、練習していて楽しくないなと感じたら、それは何かが間違っているということが多いのです。 周りの人とも協力しあって、自分が楽しめる環境や、皆が楽しめる環境を作っていってください。 ドラムの音を知ることが、そうした環境を作ることに役立てばうれしいです。今日は、お疲れさまでした!

※価格は2018年4月現在のもので税抜表示となっています。
※仕様、付属品及び価格は予告なしに変更される場合がありますのでご了承ください。