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プロが語る試奏感

小林裕 × JOSEF“NS-1”

いい意味で予想を裏切られました。ふつうは、この価格帯の楽器を吹くと「あー、やっぱりな」と思うことがほとんど。上級機種に比べて明らかに鳴りが落ちるものが多いんです。木の振動がいまひとつだったり、音が幾分劣っていたり……。
しかし、このNS-1に関しては、それがありません。上級機種に見劣りしないクオリティーを持った楽器です。

この音質は素晴らしい!
上級機種と音色の傾向は異なっているかもしれませんが、この楽器には、この楽器しか持ち得ない音色的魅力があるんです。場合によっては、プロが仕事で使えるでしょうね。この楽器の音なら、プロの要求にも充分応えてくれます。

操作性も問題ありません。上級機種に比べて、たとえばLow C-C♯のバナナキーなど、キーが若干少ない。しかし、オーボエには、標準装備されていてもほとんど使わないキーもありますからね。バナナキーなどは、プロでもとってしまう人がたくさんいます。いずれにしろ、ほとんど演奏に支障のない範囲のことなので、困ることはないでしょう。

たとえば音大受験生、プロをめざしている人、アマチュアオーケストラに籍をおいている人などの中には、経済的な問題から上級機種に買い替えるのをためらっている人も多いでしょう。そういう場合は、このNS-1を有力な選択肢として検討してみてはいかがですか。かなりの満足感を得られるはずです。音大受験生がこの楽器で挑むのであれば、なんら気後れする必要はありません。充分です。スチューデントモデルを使っている人で、もっと響きがいい楽器がほしいと思う人などには最良の楽器でしょう。

最近は樹脂でもかなりいいものができているようですが、やはり木にはかなわない。現段階では、発音体として天然の素材にまさるものはありません。まして、NS-1なら、これだけの音色をこの価格で手に入れられる。同じ価格帯の他の楽器と比べて、このコストパフォーマンスの高さは特筆に値します。

もちろん高価な楽器にはそれだけの価値もあるのですが、吹き手との相性もあります。高い価格帯の楽器ならどれでもいいということではないのです。それに、音色的に秀でている楽器は、えてして抵抗感も大きい。まだそんなに経験のない人や毎日吹くことができない人にとっては、抵抗感がありすぎてきついかもしれません。NS-1の抵抗感は適度であるうえ、相当なレベルの音が得られますから、初心者にも安心してすすめられる楽器です。これが最初の1本であるなら理想的でしょう。

ムジーク・ヨーゼフが、埼玉にあった工場を沖縄に移して4年目。この意欲的モデルには本当に驚かされました。“美ら音工房”の今後に期待しています。

 

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小林裕
東京生まれ。
オーボエを高橋志郎、齋藤勇二の両氏に師事。
文化学院高等部卒業後スイスのバーゼル市立音楽院に入学、オーボエをアンドレ・ラルドロ氏に、ピアノと室内楽をウルリッヒ・サンドマイヤー氏に師事。在学中にバーゼル・シンフォニエッタの設立に参加。またソリストとしてバーゼル交響楽団等と共演する。
1986年ドイツのヒルデスハイム市立歌劇場管弦楽団入団。またダ・カメラ木管五重奏団のメンバーとしてヨーロッパ各地で公演を行う。
1991年東京フィルハーモニー交響楽団入団。
現在同団首席オーボエ奏者を務める傍ら国立音楽大学、洗足学園音楽大学、尚美学園講師として後進の指導に当たっている。
「ゼフィルス・クインテット・トウキョウ」、ダブルリードアンサンブル「エスプレッソ」メンバー。

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