ブリスの名を一躍有名にしたのは、女王陛下臨席の下で開かれた
夏の野外コンサートのTV映像。
スペシャルゲストで登場した紅顔のブリス少年は、このときまだ12才。
クリクリとした目を輝かせながらメサジュの「ソロ・ド・コンクール」を鮮やかに吹いてのける映像が世界に配信され、
「天才少年現る!」を印象づけた。
その1年後の2003年に早くも初来日し、東京交響楽団とウェーバーの協奏曲第2番を協演、「題名のない
音楽会」にも出演して話題を呼んだ。
4才でクラリネットを始めている。
「最初はよく覚えていない。ただ音楽がやりたくていろんな楽器を試してみた中で、クラリネットが一番自分にしっくり来たんです。
ピアノも同じ時期に始めました。両親?音楽とは無関係です。」
クラリネットと言っても、最初に手にしたのはグラハム・ライオンズ(Lyons)という英国人が作った子供用のC管プラスチック・クラリネット。
キーを簡略化しE♭クラリネットのマウスピースで吹く「簡易クラリネット」だが、品質が高いことで知られる。
その楽器を手に、4才の彼がホルベルク組曲の1曲を吹く映像が彼のホームページにアップされているが、無理のない口とまっすぐな息で、楽器を
鳴らし切って吹いていることに、まず驚かされる。
「教えられたとおりに練習し、教えられたとおりに吹いているだけですよ。
ライオンズのクラリネットは少ない息でも楽に鳴るから、
教育用としてはとても良いと思う。軽いことが一番ですね」
イギリス出身のジュリアン・ブリスは、20歳にしてすでに世界最高のソリストのひとりと評価されています。
ヨーロッパ各地、アメリカ、アジア、中東の各地でソロ活動を行っており、またそうした旺盛な演奏活動のかたわら、最新作のザビーネ・マイヤーとの共演アルバムなど、EMIレーベルでソロCDを制作しています。
エリザベス女王の生誕80年式典でも演奏し、その模様はBBC放送を通して世界の40ヶ国に配信されたのを始め、たびたびテレビにも登場しています。
2002年6月1日にバッキンガム宮殿で開かれた女王在位50周年記念式典にも招待され、それは「天才」と題された3部構成の彼の生い立ちのドキュメンタリーにまとめられました。
※ www.julianbliss.com
をご参照ください。
ルブランのブリス・モデル
このルブラン・ブリス・クラリネットは、カナダのモリー・バックンとルブランが共同で開発し、低価格帯の3モデルからなっている。
バックンとの出会いと自身のモデルについてはこう語る。
「6才から12才まではピーター・イートンを使っていました。その後モリーに出会ってルブランで開発中のモデルを吹かせてもらい、これこぞ僕が望んでいた楽器だと思ってすぐにルブランに変えたんです。
その2年後、モリーから低価格帯の楽器に良いものがない、このギャップを何とかしたいというアイデアが出された。
リーズナブルな価格でクオリティの高いものを提供するという彼とルブランのコンセプトにはとても共感を覚えたから、すぐに賛同し、僕のモデルが開発されることになったんです」
2009年8月に大阪・名古屋で行われたコンサートでブリス氏はルブラン・バックンの最高機種「レガシー」とグラナディラ製のブリス・モデルの2本を吹いたが、希望小売価格が19万円台というグラナディラ製のブリス・モデルが「レガシー」に負けず劣らず太くパワフルにホールに響き渡ったことをお伝えしておく。
インタビューの最後に、現在こだわっているレパートリーがあるかどうか尋ねると、「次のプロジェクトはジャズ。もちろん僕のメインはクラシックだけど、ベニー・グッドマン・スタイルや新しいジャズにも挑戦するつもりです。もちろんインプロヴィゼーションも。」
「良い友達」だという、同じルブラン・アーティストのエディ・ダニエルズの姿が一瞬重なった。
〜パイパーズ 2009年10月号より抜粋〜