杉浦先生に聞いてみよう!」

今回、第3回目は「リードチューブ」のお話です。
リード作りの参考になる内容ですので、ぜひ読んでみてください。

オーボエの知識<3>
「リードチューブの選び方」

Q. マリゴ・オーボエにおすすめのチューブを教えてください。
A. マリゴに合うチューブではなく、自分に合うチューブを選びましょう。

オーボエのチューブは、演奏上とても大切な役割を担っています。奏者が出した息をいったん集めてギュッとまとめる部分ですから、その太さと形はとても重要な意味を持っています。音程、音色、ニュアンス等はもちろん、吹き心地にも影響を与えます。
だからこそ、さまざまなタイプのチューブが用意されているわけですが、その種類の多さが、初心者にとっては、何を基準にどれを選べばいいのか、悩みの種になりかねません。

チューブを選ぶ際に考えるべきことは、おおざっぱに言って2点です。
まず1点は、そのチューブが自分に合うかどうか。
もう1点は、使っている楽器に合っているかどうか。
この2つの点を吟味し、最適のチューブを探すべきだと思います。

杉浦先生に聞いてみよう!」
杉浦直基先生

マリゴ・オーボエは非常に許容範囲が大きい楽器なので、どんなチューブが合っているか、言い切ることができません。
どんなチューブにも対応してくれる、許容範囲が大きくて融通が利くところが、マリゴという楽器の最大の特徴なのです。
ですから、日本人・ドイツ人・フランス人・アメリカ人……使っているチューブはさまざまです。これを使えば大丈夫というチューブはありません。
これぞ決定版!というチューブをご紹介できなくて申し訳ない(笑)。

ただし、マリゴを吹いているその人にとってどんなチューブがいいのか、その人に合うチューブ、合わないチューブは必ずあります。
身体が大きく力強い人と、身体が小さくか細い人では、当然出る息の分量が違います。
身体の大きさが違えば、肺の大きさも違うし、筋肉の強さも違うので、一定時間内に吐き出せる息の量、つまり、息のスピードも違ってきます。
自分の息の量とスピードにチューブを合わせるというのはとても大切なことで、そこに選択の余地が生まれてくるわけです。
チューブにはフレンチタイプとジャーマンタイプがありますが、フレンチタイプの内径は大きく、息が入りやすいという特徴を持っています。
ジャーマンタイプは、どちらかというとダークで、スピード感のある音色。
マリゴ・オーボエを吹く人の多くは、柔らかくてしっかりした音で吹きたいと思っているでしょう。
その場合は、ドイツタイプのチューブを選んだほうがいいと思います。

つまり、音色を柔らかくまとめたい場合は細身のチューブのほうがよく、明るく抜けがいいクリアな響きを求める場合は、少し太さのあるチューブを使ったほうがいいのです。
ただ、細いチューブの場合は音程をとるのが多少難しくなります。したがって、いつも音程が気になることが多い人には、細いチューブではさらにコントロールが難しくなってしまう場合があるかもしれません。

ブランドで言えば、リゴティがだいたい中庸なチューブだと言えます。
より音色をダークにしたい場合はアクタスのオリジナルチューブ、よりクリアに吹きたい場合はピゾーニかグロタンあたりがいいでしょう。
同じブランドでも太さの種類がいくつかあるものがありますが、この場合も、細いほうが音はまとまりやすいけれど吹くのはきつく、太いほうが音程をとりやすくて音の抜けはいいけれども、音が明るくなっていく傾向にあります。
私はヘンツェのD-6を使っています。内径的にはかなりアクタスのオリジナルに近い感じです。 またアクタスのオリジナルもおすすめのチューブのひとつですね。安価で、音色もまとまりやすいので、初めてリードを作る方にも気軽に試していただけると思います。

ところで、皆さんの中には完成品リードを使っている人も多いでしょう。
完成品リードを買っている人も、吹いた感覚だけで選ぶのではなく、その完成品リードがどんなチューブを使っているかをチェックしてみてください。
いつも買っているリードがたまたま品切れだったり、他のブランドのものを試してみたいときには、チューブが同じものを探せばかなり手間が省けます。
あるいは、細いチューブのリードを使っていて、いつも音程がとれにくいと思っていたら、一度太いチューブに変えてみるといいでしょう。
チューブの選択は、完成品リードを選ぶ際にも、指針のひとつとなり得るのです。


【ノナカ・ダブルリードギャラリーでは下記チューブのほか、たくさんのチューブの取り扱いがございます。】

マリゴ アクタスオリジナル リゴティ
ヘンツェ D6 ヘンツェ E6 ヘンツェ E8
ビゾーニ グロタン シャンタン RC2

【バックナンバー】

オーボエの知識<2> 「はじめての木管五重奏」
オーボエの知識<1> 「楽器選びで気をつけなければいけないことは?」

杉浦直基先生 プロフィール
静岡県立静岡東高等学校卒業。16歳よりオーボエを始め、小畑善昭、似鳥健彦の両氏に師事した後、1980年国立音楽大学入学。丸山盛三氏に師事。 在学中にヘルムート・ヴィンシャーマン、ギュンター・パッシン、ディートヘルム・ヨナス、インゴ・ゴリツキ、ハンスイェルク・シェレンベルガーの各氏の指導を受ける。
1984年国立音楽大学卒業。在学中に東京交響楽団に入団、首席奏者を務める。
1994年には渡独し、ローター・コッホ氏(元ベルリン・フィルハーモニー・ソロオーボエ奏者)に師事した。
1998年より国立音楽大学非常勤講師を務めた後、2006年3月を以って22年間在籍した東京交響楽団を退団、国立音楽大学准教授に就任している。また洗足学園音楽大学非常勤講師も務めている。
その後は日本フィル、新日本フィル、東京フィル、読売日本交響楽団、東京都交響楽団、大阪フィル、群馬交響楽団、紀尾井シンフォニエッタ東京などに客演首席奏者として幾度も招かれている他、室内楽奏者、ソリストとして、また日本音楽コンクール・オーボエ部門、管打楽器コンクール・オーボエ部門などの審査員を務めるなど多方面で活動している。日本オーボエ協会常務理事。
なお室内楽グループ「クニタチ・フィルハーモニカー・アンサンブル」のメンバーとしてCDがリリースされている。