2016年 全日本吹奏楽コンクール課題曲 演奏上のアドバイス FOR PERCUSSION

各課題曲の演奏ポイントを解説!

課題曲Ⅰ スケルツァンド/江原大介

この曲に求められる明るい軽快さ、そして立体感のある色彩を表現するには、打楽器セクションの皆さんがとても重要な役割を担っています。
各楽器の発音にはスピード感を失わないよう注意して、輝きのあるサウンドを目指しましょう。
明るい響きのラディックスネアドラム、倍音の豊かなイスタンブールシンバル、クリアで豊かなサウンドのラディックバスドラム…が皆さんの演奏をしっかりサポートします。
またマレットの選択はサウンド創りに大きく影響します。おススメのジャストフィット、ラディック、マッサーマレットと共に、軽快なスケルツァンドを創り上げてください。

それでは演奏方法やマレットのチョイスなど、詳しくお伝えします。

スピード感のある流れを止めないことですが、このような曲はマレットの選択など、どうしてもハードな印象を持ってしまいます。
ハードマレットは発音やリズムなどは明確になりますが、逆に音色は痩せてしまう傾向に向かいます。
加えてパワーのある重いマレットを選択すると軽快さが失われます。
軽快感を失うことなく、乱暴にならないサウンドを目指してください。
冒頭の二小節は特に短い乱暴なサウンドにならないよう注意しましょう。
短くても余韻のある丁寧な音の処理を心がけましょう。
四種類の楽器の余韻が同じ長さになるよう工夫してみてください。
Timpaniマレットは硬すぎない事、Bass Drumマレットは大きすぎない事、Triangleビーターは細すぎない事です。
Snare Drumの発音は金管楽器のタンギングと同じスピード感を意識するとバランスも良くなります。
また、Snare Drumは Vivo(Strepitoso,Vivace)と Andanteの部分の音色を変化させる工夫が必要です。
叩く場所、スティックの角度、反発のスピードなどを変化させながら、軽快な明るい響きと暖かく柔らかな響きを研究してみましょう。
play on the rimも音色の工夫で色々な表現に挑戦してください。
30小節目にある BassDrumのソロのような時は、太く低い音が求められますが、打点はど真ん中を外さない事です。
Suspended Cymbalのロール(クレッシェンド)は乱暴にならないよう余韻を大切に、軽めのマレットが良いでしょう。
~は ff になりますが合奏全体のバランスを観察して、強くなりすぎないよう注意が必要です。
~も、~も楽譜上の強弱記号は、あくまでも合奏全体に対する指示と理解しましょう。
バンドの響きやメロディが消されてしまうような強奏にならないよう注意して、最後まで丁寧な演奏を心がけましょう。

課題曲Ⅱ  マーチ・シャイニング・ロード/木内 涼

何よりも楽しく…作曲者の求めている明るい、輝きのあるサウンドを目指しましょう。
明るい響きのラディックスネアドラム、クリアで豊かなサウンドのラディックバスドラム、明るい輝きで倍音の豊かなイスタンブールシンバル、豊かなサウンドのマッサーグロッケン、シロフォン…が皆さんの演奏を軽快にサポートします。
おススメのジャストフィット、マッサーマレットと共に、ベストサウンドマーチを目指してください。

まず、コンクールの課題曲に限らずコンサートバンドでマーチを演奏するときの注意点を確認しておきましょう。

打楽器セクションのマーチの伴奏は常に合奏全体に対する気配りが求められます。
音符の長さ一つとっても、4分音符は止めないのか、8分音符は毎回止めるのか、Snare Drumの場合はどうするのか、Cash Cymbalsの場合はどうするのか、また、強弱記号に対してフォルテは常に強いのか、各楽器のバランスはどうまとめるのかなど、単純(簡単)な譜面であればこそ考えるべきことがたくさんあります。
Bass Drumは担当する演奏者が感じている以上に会場に響いていることがあります。
同じ音型で進行する、低音楽器セクションと一緒の意識を持ち、バンド全体をまとめあげる気持ちが大切です。
これは Snare Drumにも同じことが言えます。
ホルンなどと一緒の後打ちなどは強すぎないバランスが求められます。
また、指示されている強弱記号はそのまま打楽器セクションへの指示として理解すると、そのときの合奏編成や楽器の種類によって、結果的に打楽器のみがバランスを崩すことにもなります。
常に合奏全体に気を配り、良い響きを求め続けてください。
音符の長さ、強弱は常に同じ動きをしている管楽器の響きを感じながら合わせてあげることで、きれいなアンサンブルに組み上がります。
常に管楽器の皆さんと同じブレス(息づかい)で歌い続けることです。

それでは今回のマーチ・シャイニング・ロードについてアドバイスをお伝えします。

打楽器セクションの楽譜にはリズムを強く主張してほしい意味合いから、アクセント記号が良く記載されます。
実際に演奏する時は少し意識をして(ちょっと強く、強調して)演奏しますが、決して強すぎないバランスがとても大切なこととなります。
冒頭の四小節はほとんどの音にアクセントが付き、その後も の前、の前、トリオの前など「キメ」 の部分は fff のアクセント表記となっています。
バンド全体にも同じ指示がされていますので力強く決めるところですが、このようなところこそバランスと音色に注意して乱暴な表現にならないよう注意しましょう。
Snare Drumのロール(トレモロ)奏法は、無意識でも最初にアクセントが付いたようになります。
や ( )などのパターンではロールの最初(裏拍)にアクセントが付いてしまうので注意が必要です。
基本練習の中でアクセントの付かないロールのトレーニングをしておくと曲中で有効に使う事ができます。
 のGlockenspielは明るく響かせるのですが、木管楽器のバランスを超えない f で演奏しましょう。
 からのClavesも余韻のある良いサウンドを求めますが強すぎない事です。
安定したClavesの良い響きは、左右の役割を明確にすることです。
左手に持っているのが楽器となり、右手に持っているのがスティックの役割をします。
後半は Glockenspielから Xylophoneに鍵盤楽器が切り替わります。
より躍動感のある明るいサウンドに向かって Xylophoneの個性を引き出してください。
但しここでもバランスに注意して、大きくなりすぎない安定した演奏を目指してください。

課題曲Ⅲ   インテルメッツォ/保科 洋

この曲を演奏する打楽器セクションの皆さんは、それぞれの楽器が持つ響き、個性を存分に引き出して曲全体に溶け込ませることを心がけましょう。
決して主役にはならない(なれない)のですが、楽器のパワーに頼ることなく、皆さんの暖かく豊かな響きで作曲家の求める「歌」を会場全体に届けてあげてください。
深い感情表現を求める演奏に、相性抜群のラディック、マッサーのコンサートパーカッションは、倍音の豊かなイスタンブールシンバル、上質でクリアなサウンドのブラックスワンプパーカッションと共に、皆さんの音楽創りを的確にサポートします。

それでは演奏方法やマレットのチョイスなど、詳しくお伝えします。

合奏内における Vibraphoneのボリューム(バランス)には注意が必要です。
会場には聴こえにくいので硬めのマレットで強めに演奏したくなりますが、打点のみ聴こえても余韻(響き)が伴わなければ求められているサウンドには向かいません。
Vibraphoneの持つ本来の響きを大切に、合奏全体に溶け込ませるような意識で演奏しましょう。
アルペジオは4本マレットで演奏しても発音のバランスやダイナミックス表現が難しいので、2本で焦らず組み上げましょう。
Timpaniや Suspended Cymbalの余韻はとても重要な響きとして会場に響き、そして残ります。
シンバルのサイズにも工夫が求められ、使用するマレットのサイズ、重さもとても大切な要素となります。
16”、18”の Suspended Cymbalを使い分けると表現が大きく広がります。
大きすぎず、重すぎないマレットの選択が重要なポイントです、是非試してみてください。
Timpani マレットの選択も、ハード、ソフトという選択に留まらず、マレットの持つパワーにも目を向けて、ヘッド部分の大きさや重量など、良いバランスで発音できているかにも注意してください。
Wind Chimeは繊細な響きがほしいので、是非マレットなどではなく指で演奏してみましょう。
バーを吊るしている紐の部分をなぞるだけで綺麗なサウンドを創ることが出来ます。
からの Tambourineと Snare Drumは掛け合いのバランスも大切ですがリズム表現を揃える事にも注意してください。
それぞれ金管楽器、木管楽器ともリズム表現を揃えますが、Snare Drumを片手で演奏するなど、Tambourineとのリズム表現が揃えば良いフレーズ感が出ます。
の Crash Cymbalsは f というパワーよりも響き渡る余韻を大切に、演奏しましょう。
最後の Vibraphoneはフルートの響きの中に良いバランスで溶け込むよう工夫してみましょう。

課題曲Ⅳ   マーチ「春風の通り道」/西山知宏

作曲者の求めているサウンドは春風のような「しなやかさ」です。
パワーも必要ですが、推進力のある豊かな響きと軽快なリズム表現を目指しましょう。
そのためには各楽器のチューニングも大切な準備の一つ、そして的確なマレットの選択がサウンド創りに大きく影響します。各楽器のお勧めマレットを参考にベストサウンドを目指してください。
コンサートマーチに相性抜群のラディック、マッサー、のコンサートパーカッションは倍音の豊かなイスタンブールシンバル…と共に、しなやかな春風を会場に届けます。

課題曲Ⅱのアドバイスに、コンサートバンドにおけるマーチ演奏についての注意点をお伝えしています。
再度、ここでも確認しておきましょう(以下、課題曲Ⅱ内のアドバイスと同文です)

打楽器セクションのマーチの伴奏は常に合奏全体に対する気配りが求められます。
音符の長さ一つとっても、4分音符は止めないのか、8分音符は毎回止めるのか、Snare Drumの場合はどうするのか、Cash Cymbalsの場合はどうするのか、また、強弱記号に対してフォルテは常に強いのか、各楽器のバランスはどうまとめるのかなど、単純(簡単)な譜面であればこそ考えるべきことがたくさんあります。
Bass Drumは担当する演奏者が感じている以上に会場に響いていることがあります。
同じ音型で進行する、低音楽器セクションと一緒の意識を持ち、バンド全体をまとめあげる気持ちが大切です。
これは Snare Drumにも同じことが言えます。
ホルンなどと一緒の後打ちなどは強すぎないバランスが求められます。
また、指示されている強弱記号はそのまま打楽器セクションへの指示として理解すると、そのときの合奏編成や楽器の種類によって、結果的に打楽器のみがバランスを崩すことにもなります。
常に合奏全体に気を配り、良い響きを求め続けてください。
音符の長さ、強弱は常に同じ動きをしている管楽器の響きを感じながら合わせてあげることで、きれいなアンサンブルに組み上がります。
常に管楽器の皆さんと同じブレス(息づかい)で歌い続けることです。

それでは今回のマーチ「春風の通り道」についてアドバイスをお伝えします。

冒頭の Timpaniはソロのようにカッコ良くスタートしてほしいところですが二打目のFがどうしても隠れてしまいます(一打目に Bass Drumがやっている、二打目は左手になる・・・)次の Bのロールはもちろん大切なのですが、そこは合奏全体のサウンドがスタートするところですので強くなりすぎないように注意して、最初の Fがしっかり揃うように注意しましょう。
Snare Drumに指示のあるアクセントは「ほかの音よりも少し強く」という意識になりがちです。
どうしても強すぎる方向に向かいやすいので、合奏内でのバランスに細心の気配りを持ってください。
「アクセントは普通に、アクセントの付いていないところは一段弱く」くらいが良いバランスの目安です。
の Snare Drumは決してソロのようにならず、管楽器のメロディーに溶け込むようなバランスで演奏しましょう。
24小節目からの Glockenspielは各楽器のソロメロディーをつないでいます。
タイミングとバランスに注意して組み上げましょう。
Trio からの Bass Drum、Snare Drumは、もちろん p で演奏しますが、音色の工夫が必要です。
特に Snare Drumは打点の場所などを工夫して、繊細で柔らかい響きを求めてください。
の Tambourineはトランペットのクリアなサウンドをサポートします。
同じ役割が60小節目と64小節目の Snare Drumに与えられています。
ここはホルンのサウンドを爽やかにサポートしてください。
76小節目からの cresc.は Bass Drumと Crash Cymbalsが付点四分音符の長さで大きくなりますので Snare Drumは それに合わせて演奏すると良いでしょう。
からも決して強くなりすぎないように注意して丁寧に締めくくりましょう。

課題曲Ⅴ   メタモルフォーゼ~吹奏楽のために~/川合清裕

作曲者がこの曲のテーマとしている変容の一つ、拍子については的確に理解することが必要です。
記譜上における4分音符から64分音符までの関係を与えられた拍子と共にしっかり整理することです。演奏上のテンポ感は全曲を通して変わらず進みます。
その上で音楽表現をより強くアピールするための味付けとして、作曲者が求めている曲想を感じ取り、音創りに挑戦してください。
楽曲全体を理解するためのスコアリーディング、管楽器のセクション練習や各楽器のパート練習を観察することで担当する各打楽器に求められている音色、響き、強さを求めていきましょう。
選択する楽器のサイズ、マレットの種類、叩く場所など、斬新なアイデアにも挑戦しながら皆さんの正解を求めていってください。
相性抜群のラディック、マッサー、のコンサートパーカッションは倍音の豊かなイスタンブールシンバル、上質でクリアなサウンドのブラックスワンプパーカッションと共に、皆さんの音楽づくりを的確にサポートします。

それでは演奏におけるアドバイスなど、詳しくお伝えします。

まずはメンバー内の担当楽器とセッティングをしっかり組み上げましょう。
パート譜では Timpaniを含む6パートに分かれています。
全ての楽譜を指示通り演奏するためには6人必要ですが、鍵盤楽器や Suspended Cymbalなどを共有することで実際に必要な楽器の総数を整理することができます。
また、各メンバーの担当する楽器を整理し、無駄のないセッティングを研究して、セクション内の移動を最小限に抑えた落ち着いて切れのあるセクションに組み上げて下さい。
一例ですが、Snare Drum, Hi-hat ,5 Temple Blocks, Triangle…などは一人の奏者で演奏可能です。
次にセクション内のバランスについて確認しましょう。
打楽器セクションの皆さんには、特に楽器の種類が多い場合、バランスのとり方に最新の注意が求められます。
金属楽器と木質楽器、膜鳴楽器と鍵盤楽器、各楽器の音色とパワーを理解して打楽器セクションに求められている質量を把握してください。
5 Temple Blocksはマレットの選択が重要です。pp でも明確に表現できることが大切です。
Wind Chimeはスティック、ビーターなどは使わず、是非皆さんの繊細な手で演奏してください。
17.25.35…などの Vibraphoneは埋もれてしまわないよう、ほかの楽器とのバランスが重要です。
反して37.54.80…などの 4Tom-tomsは全体のバランスを崩さないよう注意してください。
前後の強い演奏は管楽器の響きが失われないように、「良いフォルテ」で組み上げてください。 随所にある Hi-hatのきざみについて、Hi-hatはペダルの踏み加減で音の輪郭やサウンド感が大きく変わります。また叩く場所、スティック角度の違いでもサウンドが大きく変わります。是非いろいろな奏法を試してジャストサウンドを求めてください。
全体を通して、このような曲の弱奏は繊細なサウンドに向かいやすいですが強奏は乱暴になりがちです。
皆さんに与えられた各楽器の特性をしっかり理解して、強い感性のサウンドを創り上げてください。

ステージにおけるセッティングについてのアドバイス

バランスの良いセッティングで皆さんの演奏をワンランクアップさせよう

ステージ上では打楽器セクションが独立して離れないように注意しましょう

打楽器パートは通常、舞台の下手か最上段に配置されます。
バスドラムとシンバルはセットで考え、常に並んで演奏するのが基本です。
ステージ上であまり動き回らなくても済むようにセッティングを考えるのも大切なことです。
客席に近い位置よりもステージ中央、反響板に近いほうが会場には良く響きます。

マーチ(行進曲)における伴奏を研究しよう

打楽器セクションのマーチの伴奏は常に合奏全体に対する気配りが求められます。

音符の長さ一つとっても、4分音符は止めないのか、8分音符は毎回止めるのか、Snare Drumの場合はどうするのか、Cash Cymbalsの場合はどうするのか、 また、強弱記号に対してフォルテは常に強いのか、各楽器のバランスはどうまとめるのかなど、単純(簡単)な譜面であればこそ考えるべきことがたくさんあります。

Bass Drumは担当する演奏者が感じている以上に会場に響いていることがあります。
同じ音型で進行する、低音楽器セクションと一緒の意識を持ち、バンド全体をまとめあげる気持ちが大切です。
これはSnare Drumにも同じことが言えます。
ホルンなどと一緒の後打ちなどは強すぎないバランスが求められます。

また、指示されている強弱記号はそのまま打楽器セクションへの指示として理解すると、そのときの合奏編成や楽器の種類によって、結果的に打楽器のみがバランスを崩すことにもなります。
常に合奏全体に気を配り、良い響きを求め続けてください。
音符の長さ、強弱は常に同じ動きをしている管楽器の響きを感じながら合わせてあげることで、きれいなアンサンブルに組み上がります。常に管楽器の皆さんと同じブレス(息づかい)で歌い続けることです。

チューニングアドバイス

ベストコンディションの楽器で本物の音楽を目指そう

ティンパニのチューニング

●弾力のなくなった古いティンパニヘッドは余韻や輝きも失われ、音程も取りにくく、音域も狭くなります。1年に1度の交換が理想と言えるでしょう。
ここではヘッドの基本チューニングを簡単にお伝えします。
詳細は http://www.nonaka.com/images/ludwig_timpani.pdf

●付け替えたヘッド(再調整の場合は十分にゆるめられたヘッド)の中心を手の平で軽く押すと、ケトルとヘッドの接点部分(ヘッドカラー)に凹凸のしわが見られます(写真①)。
このしわがなくなるまでチューニングロッドを少しずつ締めていきます。1ヵ所をあまり強く締め過ぎないように注意して、ていねいにバランス良く張ります。
全体のしわがなくなったら(写真②)、もう1度ヘッドの中心を少し強く押してみます。
まだしわが出る箇所があれば、その部分のチューニングロッドをさらに締めていきます。
この時点がチューニングの出発点ということになります。
●まず各ロッド周辺をマレットで軽く叩いて音程(ピッチ)を均等に合わせます。
通常ここまでの作業が的確に行われれば、大きな音程の差は感じられないでしょう。
この時点ではまだ各楽器の最低音以下の音程となっています。
ここから各ロッドを同じ角度で締めていきます。たとえば90度ずつ(写真③)、または180度ずつ…など。
この動作を何度かくり返して、その楽器の持つ最低音が出るところまでピッチを上げていきます。
最低音近くの音程が感じられたところでペダルをつま先方向にいっぱいに踏み込んで(写真④)、その楽器の最高音または必要とされる音域まで出るかどうか確認をします。

●各チューニングロッドをていねいに調整し、ロッド周辺の音程を合わせていきます。均等に合わされた時点で、実際に演奏する音域がカバーされているかを確認します。
さらにペダルを数回上下運動させてヘッドをならした後、最低音と最高音を再度確認、調整します。
すべての調整がすんだ時点でチューニングゲージの音駒をセットします(写真⑤)。

以上でチューニング終了、ベストサウンドの完成ということになります。 


バスドラムのチューニング

●バスドラムのヘッドには本革のものとプラスチックのものがあります。コーティング処理をして本皮のニュアンスを出すモデルもありますが、材質はプラスチックです。
ここではまずプラスチックヘッドを基本に説明します。

●裏側、表側(打面)ともロッド(写真Ⓐ )を全体に力が加わらなくなるまでゆるめてください。べろんべろんになっても(写真Ⓑ )心配せず、どんどんゆるめましょう。
ここで打面の中心をマレットで叩くと、もちろんべろ~んという音になりますよね。
ここから少しずつロッド(写真Ⓐ )を締めて、少し強く叩いてもべろ〜んと鳴らなくなるまで張ってみましょう。
表側(打面)も裏側も同程度でよいです。

●基本チューニングはこれでOKです。
セクションの皆さんで聴き合って、「もう少し張ったほうが…?」「ちょっと張りすぎでは…?」と意見を出し合い、納得できる位置を見つけ出してください。
裏側のヘッドは、ゆるめに張ると余韻が長くなり、きつめに張ると余韻が短くなりますが、表側(打面)と同じ張り具合よりも、少しゆるめがよいと思います。
あまり差があると、強く叩いたときに楽器が鳴りにくくなるので注意しましょう。

●演奏時、チューニングと同じくらい大切なのはマレットとの相性です。
●写真Ⓒ は36インチのバスドラムですが、マレットはこの程度の大きさで十分です。バスドラムは中心を叩くことで一番低く、まとまった音を創れます。打点の基本は中心付近をお勧めします。
これはトレモロのときも同様で、中心でトレモロをするのは少々難しいですが(写真Ⓓ )ぜひチャレンジしてください。
写真Ⓔ の位置ですと、深みのあるトレモロはなかなか出ません。

●ヘッドの交換時期についてはそれほど神経質にならなくても大丈夫ですが、何年も経っているものは弾力がなくなってしまうので交換が必要です。


スネアドラムのチューニング

●弾力のなくなった古いヘッドを調整するのは難しいものです。1年以上使用しているようなものは、ぜひ新しいものに交換して、チューニングをしてみてください。スネアドラムが生き返りますよ。そして、この機会にバラバラにされたパーツをきれいに磨きましょう。
●新しいヘッドは最初少し伸びるので、高めに張っておくと数日後に落ち着きます。
2~3日たってから再度チェックします。全体を平均に締め上げていきます。あまり神経質にならなくても大丈夫ですよ。
表も裏もほぼ同じ程度にしっかり張ってください。目安としては、声で共鳴させて、B~Cくらいで胴が響く程度まで張ります。
手で押さえてしっかりなじませます。(裏はやりすぎないように)
●スナッピーは裏ヘッドの中心にあたるように、少しだけ気を使って取り付けます。まっすぐに付くように気をつけて…。後で調整用のネジで対応できるようにゆとりを持ってヒモを固定してください。最後にスナッピーをONにしたとき、適度な響きになるようにネジで調節します。パリッと歯切れの良い響きになるよう張ってください。


シンバルのセッティング

手皮の装着方法

①手皮の切込みがシンバルの穴と同じ位置になるくらいまで差し込みます。
②シンバルの裏が上になるようにセットします。
③シンバルの表側から入れた手皮の切れ目を広げて十字のように整えます。
④最初に折り曲げる一片にはゆとりを持たせて反対の方向に折り曲げます。
⑤折り曲げた一片に対し重ねる形で次の一片を折り曲げます。
⑥同様に次の一片を折り曲げます。
⑦最後の一片は最初に折り曲げた一片のゆとりの部分に差し込みます。
⑧四片の先端を引っ張りながら全体の形が均等になるように整えます。
⑨完成された手皮の長さは最初の時点で決まってしまいます。

シンバルスタンドとセッティング

●サスペンドシンバルは通常シンバルスタンドに取り付けますが、繊細な響きを大切にしたいときはスタンドに付属のフェルトすら大きく影響します。出来る限り響きに影響しないための工夫も必要です。

●コンサートバンドのサスペンドシンバルは、出来るだけ響きを止めない工夫が必要です。フェルトに触れる箇所も出来るだけ少なく、ステージではフェルトネジを締めつけずに乗せるのみでも良いです。

●また、スタンドのアーム部分は角度をつけずシンバルを水平に取り付け、スタンド足部の開きはシンバルのサイズより大きく広げることで安定感をつけ、倒れないようにセッティングしましょう。

シンバルとマレットの相性

●シンバルに限らず楽器とマレットのバランスはとても重要ですが、シンバルのサイズとマレットの大きさ、重さ、スティックの太さなどとのバランスはとても大切です。

●またシンバルを叩く場所、叩くときの角度もサウンドに大きく影響します。

●シンバルのよい響きを最大に生かすためには大きすぎない重すぎないマレットで、エッジに近い箇所で角度をつけずに演奏するのが基本です。